屋根の上の狐と猫
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 闘技場の屋根の上で寝ていた。すると客が来た。誰かと思えば、目の前に顔があった。思わず、顔をしかめる。

「あれ、キミ剣八のとこの四席ちゃんやない?」

七番隊から異動にならはったんやろ。そう言った銀髪に狐目、白い羽織の死神。

「市丸三番隊隊長、」

「キミもサボリ?」

「一緒にしないでください、私はちゃんと休憩をいただいてます」

「そりゃ失礼、」

市丸隊長は隣に腰掛けた。私はこの死神も苦手だった。何を考えてるかわからない。

「近々、処刑あるん知ってる?」 

「処刑ですか?」

「そ。」

あそこの双極っていう道具でなぁ、と市丸隊長は崖のほうを指差す。切り立った崖の上にあるそれは、遠い記憶にある、違う世界の神の姿のようだった。


「へぇ。随分と大々的なんですね」

「大々的?…君、おもろいこと言うなぁ」

「だってそうでしょう?罪深いのなら、それこそひっそり消されるべきだと思います」


見せしめのようだと思う。
あるいは実際にそうなのかもしれない。


「ボク隊長やから、いかなあかんのよね」

「それはまた悪趣味ですね」


しゃあないやない。と言って市丸隊長はふてくされたように寝転んだ。金平糖をくれたので有り難く頂戴する。遠くで、彼の名前を呼ぶ声がした。


20140930

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