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ジェームズの泣き顔に思わず笑ったのが一ヶ月前。ハリーと名付けられた甥っ子はすくすくと育った。
「体調はどう?アイリス」
「つわりは軽いし、空木もなにかと家事をしてくれるから楽だよ」
「そう、それはよかった」
母となった姉の顔を、眩しそうにアイリスは見つめた。
「あと一ヶ月ね」
「そうだな、私もお母さんか」
「ペチュニアは大きな子だったから、随分大変だったそうよ」
幼い頃から仲のよかった3姉妹は、ほとんど同時期に結婚し、ほとんど同時期に母となった。ペチュニアはドリルの会社を経営している男性と結婚し、念願の玉の輿に乗ったのだ。
「それにしても3人とも男の子だなんて」
「だねぇ、何の因果があったのか」
「まぁ次の子に期待ね」
「おや、もう次の予定があるのか?」
肩を竦めるアイリスに対し、楽しそうなリリー。どうやらハリーに妹が出来るのも時間の問題らしい。
「そういえばシリウスから手紙が来ていたよ。自分が名付けたんだと嬉々として綴ってあった」
「そう!あの人自分のことのように喜んで、こっそり泣いてたのよ!」
「やっぱりそんなことだろうと思ったよ。彼も誰か良い人を見つければいいのに」
「学生時代、仲良くしてた日本人の子がいたんだけど、ダメになっちゃったみたいね」
「へぇ、日本人もホグワーツに通ってたのか」
「ええ、私も驚いたわ」
アイリスは自分の夫の実家を思い浮かべる。日本の魔法世界はまだオープンとは言えず、外に情報を漏らさないことで有名らしいから、ホグワーツに日本人が通うことはとても稀なことなんだという。そう言えば、日本にも魔法のような占術があると言っていたから、そのことなのだろうか。
「まぁ、遊び人の彼のことだから、一生独身だったりしてね!」
リリーはこれまでシリウスに泣かされた同級生たちのことをすごい剣幕で語るのだった。
20141001
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