俺とでかいアイツ
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俺と風早陸は1年の時の同級生だ。
最初は中1にしてすでに170を超えていた陸に対して、良い印象は持ってなかった。だってそうだろ?女子のクセに背がでかいし、態度もでかいし、見下ろされるのも屈辱。そのくせ、性格は大阪人だからか社交的で、すぐクラスに馴染みやがったし、女子にもキャーキャー言われてやがった。




俺は背が高いことへの嫉妬やらなんやらで、陸を一方的に嫌っていた。たぶん一ヶ月ぐらい、よく思ってなかったと思う。けど、俺がテニス部の三強に果たし状を叩きつける少し前、バスケをする陸を見てちょっとだけ見直したんだ。


それは同じスポーツ選手としても、バスケ選手としても、陸のレベルが高いことを感じたからだ。負けてられない、そう思った。それから俺は果たし状を叩きつけて、コテンパンにされるわけだけど。



数日後、“期待のダブルルーキー”という噂が聞こえてきた。最初は俺のことだと得意げになったけど、よくよく聞いてみれば“ダブル”だ。英語が苦手な俺でも2人ってことくらいわかる。俺のほかにテニス部で目立ったヤツはいねぇ、いや俺の知らない間に三強に挑戦したやつがいたのかもしれねぇ。ちょっと苦々しい気持ちになりながら真相を確認すれば、“ダブル”の片割れは風早陸だと知った。俺はアイツのプレーを思い出して、納得した。大阪からはるばる上京してんだ。強くねぇはずがねぇ。



それから、俺は陸と短い話をした。

噂になってんなぁ、なにやらかしたん、とかそんな感じの内容だ。話してみれば同じスポーツ選手だからか、陸の性格か、そのどちらもなのか、俺らはとても気があった。お互い高い能力を求めてここに来ていた、それは種目が違えど、通じることだった。お互いに名前で呼び合うようになるまで、そう時間はかからなかったように思う。その年、俺は1年にしてレギュラーを手にし、同じく陸もスタメン入りを果たしていた。



しかし、それから1年後。2年になった俺らは、お互い壁にぶつかることになる。俺はプレースタイルの問題と部長の病気で眠れない毎日が続いていたし、陸のほうも前々から痛めていた腰が悪化したんだという。その年、俺たちはお互いに掲げた全国制覇を達成できずに、立海に戻ってきた。








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