とある休日
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休日、久々のオフ。
いつものようにストバスで軽くならしとったら…


「なんだ、お前」


どうやら絡まれたようです。


***とある休日***



目の前にはウチとそう身長の変わらない、高校生と思われる長髪の男子。


「なんだって、言われましても。使ったらあかんのですか?」


そう言うと相手の目つきが変わる。睨みつけるような目が怖い。が、ウチも関西人。そんな凄みなら兄ちゃんのほうが強いっちゅうねん。ちゅうかいきなりコートに入ってきて、なんだお前ってなんやねん、こっちのセリフじゃアホんだら。


「あ?お前何年だよ?」

「2年やけど?」


そのアンちゃんは一瞬きょとんとしたような顔になった。たぶん、年下やと思ってたんだろう。いや、実際年下やねんけど。何年としか言ってないので間違いじゃない。ウチは嘘はついてない。


「てか、あんた女…?」

「当たり前や、」


幾度となく間違えられているからもう慣れっこだけど。ちょっと傷つく。


「あんた練習しに来たんやろ、調度ええわ。1on1付き合ってや」

「お、おう」


ウチが敬語じゃないのは良いだろう。吹っ掛けてきたのは向こうが悪い。


「ウチ、立海の風早」

「…立海大附属っ?!女バスのIH常連校じゃねぇかっ」

「おん、まぁな。自分は?」

「聞いて驚けっ。海南大附属のスーパールーキー、清田信長とは俺のことだっ」

「…そんなん知らんわ。海南大附属っちゅうたら、牧さんとか神さんがいてはるとこやんな?」

「おうっ。さすが牧さん達、有名だなっ」


まぁ次期にそこに俺の名前が入るんだけどなと言って清田さんはカッカッカ、と特徴的な笑い方で豪快に笑った。


「じゃ、俺ディフェンスでいいぜ」

「おおきに」


そう言ってハーフラインに並ぶ。身長が同じくらいといえど、中学女子と高校男子だ。力の差は試さなくてもわかる。


「(まともにしたら逆にダメージ食らうやろな…)」


ウチはとりあえず鋭いドリブルで右手に進む、進行方向を清田さんが塞いだところでロールして左手へとドリブル、とゴールとの距離を縮めていく。


「(さすが海南大附属や、基礎もようやり込んどる…)」


まともにゴール下まで持っていけそうにない。


「(せやったら、)」


左手からゴール下に鋭いドライブをする。


「っんにゃろっ!!」

「負けへんよっ、(反応速いな)」


レイアップでいくと見せて、一気にレッグスルーでボールを後ろに持ってくる。


「あっ、てめっ」


清田さんが追うが、さらに一歩下がりながらフェイダウェイの形でミドルシュートを打つ。


「くそっ」


清田さんはスクリーンアウトしたが、無駄。ボールはネットに吸い込まれていった。ノータッチだ。ネットの音が気持ちいい。


「ふぅ。」

「ふぅ、じゃねぇよ!!お前外もあるのかよ、Cじゃねぇのか」

「CFっていうんが一番正しいかな。」




二人で話してるといきなり冷たいものがうなじにあてられた。


「「ひぅっ」」



「あはは〜、変な声」

「神さんじゃないすか、いつから此処にっ!?」

「薄情だなぁ、清田。最初から居たじゃない」

「えっ、嘘、まじすかっ?!」

「神、そう苛めてやるな」



だって、牧さん。と言ったのは海南大附属のシューター、神宗一郎さんだった。



「清田ばっかり女の子と話して、ずるいじゃないですか」


彼の後ろには神奈川No.1プレーヤーの牧紳一さんがいた。



「……女の子?」

「ほらっ、お前ぜってぇ男に見えんだよ」

「え〜清田さん超失礼やわ」



ウチは牧さんに向き直る。



「立海大附属の風早陸です、一回お会いしたことあるんですけど、覚えてはりますか?」


「…ああ!!陸ちゃんか!!神奈川選抜合宿のとき、嵐さんに連れられて来ただろう」


「はい、覚えとってくださって嬉しいです」

「へぇ、風早嵐さんの妹?」


そうです、と言えば、いきなり清田さんが興奮しはじめた。


「おいおいおいおいおいっ!?マジかよっ?!」


ウチの兄貴、嵐は大学バスケット界じゃあなかなかの有名人らしい。


「マジマジ、大マジやっちゅうねん」


その時尻のポケットで、携帯の着信音が鳴る。


「もしもし、うん。今?ストバスにおるよ。うん、え、ほんまに。わかった。すぐ戻るわ。」


亜季からで、すぐ帰ってこいとのこと。何でもこないだの練習試合のビデオを見るんだとか。


「すいません、帰らなあかんくなってまいました、」

「そうか、嵐さんによろしく言っておいてくれ」

「はいっ」


神さんに挨拶したら、アドレス交換しようと言われたのでありがたく交換してもらった。

清田さんに挨拶しようと思ったら、彼はさっき抜かれたことが悔しかったようで、目を合わせてくれなかった。


「ほんならまた〜」

「おう、大会頑張れよ」

「はいっ。牧さん達も頑張ってください、試合見に行きますんでっ!!」

「またね〜」

黒いジャージを翻して、行ってしまった。


「もう、いつまで拗ねてるのさ、清田」

「だって、だって、立海大附属といえど女子にやられるなんて…」

「あははは、お兄さん譲りなのかな、まだ中学生なのにすごいよねぇ」

「…へ?」

「え?」

「陸ちゃんは中学生だぞ、清田」

「ま、牧さんっ。う、嘘だ、だってアイツ俺にタメ口使ってたし…、それに2年だって…」

「中学2年だ」

「タメ口使ってたのは、清田がいきなり入ってきたのが気に入らなかったんでしょ」

「マジですか、今度会ったら何て言ってやろう…」

「中2であの身長もすごいよね」

「嵐さんが2メートル越えてるからな」


そんな会話があってるとは知らない陸は


「亜季っ、海南大附属の牧さんに会ったっ!!」

「牧さんって、牧紳一!?神奈川MVPの!?」

「せやっ。あと6番で得点王の神さんと、あと…あと…誰やったっけ?」

「…さあ?」

* * *

「へっくしっ」

「風邪か、清田」

「誰か噂でもしてるんでしょ」

* * *

from:神さん
title:無題
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今日はどうも。
清田は最後まで中学生ってわからなかったみたい(笑)馬鹿だよね(`∀´)


「…神さん、実は腹黒いんかな」




とある休日
こんな休日があってもいいんじゃない





20110817

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