期末テストを乗り越えて、あっという間に一学期の終業式。だけど夏休みに入る前にまだやることが残っている。


「おお〜。やっと来たぜ、生徒会長サマがよ」


体育館へ続く廊下で浅野を待ち伏せ。E組に構う暇は無いと、通り過ぎようとする浅野を寺坂が引き留めた。


「浅野、賭けてたよな。5教科を多く取ったクラスがひとつ要求できるって。要求はさっきメールで送信したけど、あれで構わないな?」


酷く悔しそうな表情の五英傑。浅野は眉間に皺を寄せるばかり。


「5教科の賭けを持ち出したのはてめーらだ。まさか今さら冗談とか言わねーよな。何ならよ、5教科の中に家庭科とか入れてもいいぜ。それでも勝つけどな、へッへッへッ」


相当頭にきてるのか、浅野は何も言わず早足でこの場を去ろうとする。


「賭けは白紙だ。次は負けない」

「こっちこそ」


擦れ違い様、浅野から告げられた賭けの白紙。これからも顔を合わせる度に突っ掛かってくるだろうけど、一先ず良しとしよう。

騒がしい体育館。制服が目立つから今日も適当に後ろの方に並ぶ。…見覚えの無い子がいる。髪型と格好だけは律っぽい。周囲に話を聞くと、どうやら機械である律の替え玉のようで。皆はテストの時に見ているらしい。一応生徒として名簿に名前があるからバレない為の工作という訳だ。

滞りなく進む終業式。いつものE組いじりもウケが悪い。あのE組がトップ争いをしたんだから。殺せんせーは留守番でここにはいないけど、皆は前を向いて立っていた。



***



「ひとり一冊です」


終業式を終えて旧校舎に戻ってから殺せんせーに渡されたのは、修学旅行の時とは比べ物にならない厚さの夏休みのしおりだ。岡島がアコーディオンって言ってたけどその通りだと思う。


「さて。これより夏休みに入るわけですが、皆さんにはメインイベントがありますねぇ」


それはA組から賭けで奪ったモノのことだ。


「夏休み!!椚ヶ丘中学校特別夏期講習!!沖縄離島リゾート2泊3日!!」


更に皆で話し合った結果、この合宿中に触手破壊の権利を使うということに決まった。


「触手7本の大ハンデでも満足せず、四方を先生の苦手な水で囲まれたこの島も使い、万全に貪欲に命を狙う。正直に認めましょう、君達は侮れない生徒になった」


頭を掻きながら言った殺せんせーの言葉は本心だろう。


「親御さんに見せる通知表は先ほど渡しました。これは、標的(せんせい)から暗殺者(あなたたち)への通知表です」


教室いっぱいに舞い散る二重丸。標的(ターゲット)からの、この3ヶ月の嬉しい評価だ。


「一学期で培った基礎を存分に活かし、夏休みも沢山遊び沢山学び、そして沢山殺しましょう!!」


ああ、もう夏休みだ。何して過ごそうかな。


「因果、帰るよ」

「んー」


カルマに手を引かれて下駄箱へ。皆もしおりは放置したまま鞄を持って帰り始める。


「暗殺教室、基礎の一学期、これにて終業!!」


[14/09/26]






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