まだまだ停学が解けない春。朝食のトーストを齧りながら適当にかけていたテレビを眺めていると、突然ニュース番組に変わった。切羽詰まった表情のキャスターに何事かと思った瞬間、半分以上が抉り取られたように消えて無くなり本当の意味で“三日月”になった月の映像が映し出された。


『――…月が!!爆発して7割方蒸発しました!!我々はもう一生三日月しか見れないのです!!』

「…はー…こんなコトもあるんだねぇー……」

「因果、テレビの音うるさいんだけど」

「あっ、カルマぁー見てよ。月が爆発したんだってー」

「…へー……あ、パンちょーだい。6枚切りのやつね」


どうやらカルマの中であまりインパクトが無かったようだ。トースターに6枚切りの食パンを入れて摘まみを回し、冷蔵庫から苺ジャムを取り出す。因みに私は8枚切り派だし、ピーナッツバター派だ。双子でも小さなことで違いが出てくるから面白い、と昔から親に言われて来た。


「これ、宇宙人の仕業だったりして」

「えー、そんなわけないよぉー。宇宙人なんていないって」

「ははっ、だよねー」


くだらないと笑い合いながら、ピーナッツバターを塗りたくったトーストに齧り付いた。



***



「――…君達も停学が解けたらE組に戻る。よって君達にも暗殺任務を依頼します!」


ようやく停学が解けようかと言う時、突然やって来た防衛省特務部の二人に月を爆った犯人の暗殺を任された。私とカルマの手にはWANTEDと書かれた手配書、写真には丸いタコに似た宇宙人のような生物が笑顔で写っている。


「――…1回さぁ、先生って生き物殺してみたかったんだ」


全くリアリティーの無い話でも信じるしかなく、隣のカルマは乗り気だ。前の先生は“勝手に死んだ”から、余計に自分の手で殺したいんだと思う。取り合えずこの怪物について渚君に聞いてみよっと。


「ちゃんと私にも殺させてよねぇー?」

「じゃ、役割決めて殺ろうか」

「「…楽しみだね」」


そして顔を見合わせて笑った。カルマは狂気的な笑みを浮かべているから私も同じように笑っているのだろう。


[12/08/17]






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -