またテストの季節がやってきた。一学期の総仕上げ、期末テストだ。そして今も殺せんせーが分身を使って行うテスト勉強中。私の分身せんせーの鉢巻きは前回の「誤」ではなく「全」となっている。


「因果さんは誤字や見落としがかなり減ったので、五教科満点を目指していきましょう」

「はーい」


鬱陶しい程近寄ってくる殺せんせー。だけど教え方は上手い。渚君が今回の目標を聞き、一旦流れが止まる。


「さて、前にシロさんが言った通り、先生は触手を失うと動きが落ちます」


殺せんせーは突然自分の触手を撃ち落とした。すると分身が維持出来ずに子供の分身が混ざり、触手をもう一本撃つと、更に子供の分身が増えて茶番が始まった。どうやら殺せんせーが触手一本で失う運動能力は二十パーセントらしい。


「…そこでテストについて本題です。前回は総合点で評価しましたが…今回は皆さんの最も得意な教科も評価に入れます。教科ごとに学年1位を取った者には、答案の返却時、触手を1本破壊する権利をあげましょう」


殺せんせーは上手いこと考えるなぁ。これはもう頑張るしかないじゃん。


「総合と五教科全てでそれぞれ誰かがトップを取れば、6本もの触手を破壊できます。これが、暗殺教室の期末テストです。賞金百億に近付けるかどうかは…皆さんの成績次第なのです」



***



「珍しく気合入ってんじゃん奥田さん」

「はい!理科だけなら私の大の得意ですから!やっと皆の役に立てるかも!」

「そうだね。一教科限定なら上位ランカーは結構いるから…皆もかなり本気でトップを狙ってるね」

「あと心配なのは…理事長の妨害かな」


岡島の言う通り、また理事長が手を出してくる可能性がある。まあ、仮に前回と同じ方法で妨害してきても返り討ちにする自身はあるし。


「因果さんなら一人で六本触手破壊できそうだよね」

「んー、今回は難易度上がってると思うし、どーだろーねぇ」

「弱気なんて因果らしくないよ?」

「別に弱気じゃないよー。ただ…、」

「?」


中間テストのこともあるから、今回はA組が理事長と一緒にE組を潰しにきそう。なんたってA組には“アイツ”がいるんだから。



***



「因果さん!起きなさい!」

「……んー、」


外での勉強会の後、あまりの眠気に堪えきれず机に突っ伏して仮眠を取っていたら殺せんせーに叩き起こされた。欠伸を噛み殺しながら頭を上げる。


「はいはい、起きるってぇ」

「では三分以内にこの問題を解いてください。解けなければ手入れをしますからね」


ヌルフフフと、笑みと共に出された問題。眠くてよく回らない頭では目の前の数式が頭に入ってこない。それでも何とか理解して解き始める、けど。


「……はい、三分経ちました。惜しかったですねぇ」

「むー…こんなのフェアじゃないー」

「ヌルフフフ。では約束通り手入れをしましょうか」


文句をつけるけど、一部始終を見ていた皆が「諦めろ」と言ってくる。…仕方がない、どんな手入れをされるのか腹を括ろう。


「……終わりましたよ」

「おぉ…っ」


意味が分からないけど一部からは歓声が上がる。するとカエデが手鏡を渡してきた。


「……何コレ、」


鏡を見て気付いたけど、酷いことにメイクが落とされていた。コンタクトから眼鏡に変わり、髪型も愛美みたいに三つ編みになっている。そして制服も上から下まで既定の物で、暑苦しいことにベストまで。


「奥田さんと同じスタイルにしてみました。いつもの格好も因果さんらしいですが、今日残り半日はこの姿で過ごしてください」

「うー…ダサいし…スッピンとかあり得ない……」

「可愛いって因果」


クスクスと笑いながら莉桜がスマホを構えて私の痴態を撮っている。止めさせようとしたら、今度は陽菜乃が撮り始めた。

……もうキリがないから諦めよう。


[14/09/05]






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