凄く機嫌が良い。朝イチでおっちゃんから新しいエアガンを入荷したと連絡があり、学校に行く前にお店に立ち寄った。そして幾つか撃たせてもらい、一番手に馴染んだライフル銃と拳銃をプレゼントしてもらったのだ。


「良かったじゃん。タダで貰えて」

「んーっ、また楽しくなるなー」


どうしてここまで私にくれるのかは疑問だけど、向こうが良いと言うのだからありがたく頂戴している。今日は結構撃ったからお昼になっちゃったけど……まあいっか。

教室の戸を引くと、床一面に何か泥に似た何かが広がっていた。どうやら殺せんせーの粘液らしい。皆粘液の所為で身動きが取れなくなっている。一体何があったかカエデに聞くとしよう。



***



放課後のプールで暗殺をすると寺坂が宣言したらしい。皆は気乗りしないがそれに付き合うとのこと。

そして放課後になったけど、私は校庭で貰ったばかりの銃で射撃練習中。カルマは木陰で音楽を聴いており、今回の暗殺は不参加を決め込んでいる。


「カルマー、帰りにパンケーキ食べに行こーよ」

「パンケーキ?昨日はフレンチトーストって言ってたじゃん」

「今はパンケーキが食べたい気分なのー」

「まあどっちでも良いけどさ」


約束を取り付けた瞬間、爆音が聞こえてきた。方向的にプールの方だ。嫌な予感がする。カルマと顔を合わせ、急いでプールへと向かう。

茂みを掻き分けて辿り着いたそこには、ある筈のプールが無かった。


「…何コレ?爆音がしたらプールが消えてんだけど」

「…俺は…何もしてねぇ」


まるで自分に言い聞かせるような言葉。寺坂だ。かなり動揺しているのが目に見えて分かる。


「話が違げーよ…。イトナを呼んで突き落とすって聞いてたのに…」

「……!!…なるほどねぇ…自分で立てた計画じゃなくて、まんまとあの2人に操られてた…ってわけ」


一連の寺坂の言動も、全てはシロとイトナの計画の内だったようだ。寺坂がカルマの胸倉を掴んで自分の所為じゃないと喚(わめ)くが、カルマが一発殴って黙らせた。


「標的(ターゲット)がマッハ20で良かったね。でなきゃお前、大量殺人の実行犯にされてるよ。流されたのは皆じゃなくて自分じゃん」

「カルマぁ、早く行こー」

「今行く。…人のせいにするヒマあったら…自分の頭で何したいか考えたら?」


下に降りてカルマと共に皆の元へ急ぐ。


「…あ、カルマ君!因果さん!」

「渚君、無事だったぁ?」

「なんとかね…」


見る限り皆助かったようだ…が。水を吸って動きの鈍くなった殺せんせーは前より強くなったイトナに押されている。更に殺せんせーの頭上では吉田と村松、寿美鈴が居る。特に寿美鈴は木の枝に掴まっているが今にも落ちそうだ。それも相俟(あいま)って殺せんせーは集中して戦えない。


「――…おまえひょっとして…今回の事、全部奴等に操られてたのかよ!?」

「……フン。あーそうだよ。目標もビジョンも無ぇ短絡的な奴は…頭の良い奴に操られる運命なんだよ。だがよ、操られる相手ぐらいは選びてえ」


開き直ったかと思ったけど、寺坂の目が変わった。


「奴等はこりごりだ。賞金持って行かれんのもやっぱり気に入らねぇ。だからカルマ!テメーが俺を操ってみろや。その狡猾なオツムで俺に作戦与えてみろ!!カンペキに実行して、あそこにいるのを助けてやらァ!!」

「良いけど…実行できんの俺の作戦?死ぬかもよ」

「やってやンよ。こちとら実績持ってる実行犯だぜ」


[14/09/04]






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