「いーなぁ、プール」

「泳げないくせに?」

「泳げるしー。…5メートル位は」

「けのびから進めないってことじゃん」


一言余計なカルマの鳩尾に一発肘でお見舞いしようとしたが簡単に躱(かわ)されてしまった。まあ事実だけどさ。

小さな沢をいつの間にか殺せんせーがプールに作り上げていたらしく、皆プールの時間が待ち遠しそう。そして殺せんせーは水が弱点のようで、この夏にそれを利用した暗殺を実行するようだ。

だけどそのプールが何者かに壊されていたのが発見された。すぐに殺せんせーが修理したらしいけど。渚君曰く、大方主犯は寺坂だろうとのこと。まあ最近寺坂の奴、妙にイラついてるし、何か起こりそうな……。


「にゅやーッ!!?」


凄まじい音と共に殺せんせーの悲鳴が響く。思っていた傍から、殺せんせーが作った木のバイクを寺坂が蹴り飛ばして壊したようだ。


「何てことすんだよ寺坂!!」


クラス中からブーイングを浴びせられる寺坂。殺せんせーは壊れたバイクを前に泣いている。しかし寺坂は謝ることなく机から殺虫剤を取り出し、あろうことか床に投げ付けた。衝撃で穴が開き、一気に中身が噴射されて教室中に広まっていく。


「寺坂君!!ヤンチャするにも限度ってものが…」

「さわんじゃねーよ、モンスター」


流石の殺せんせーも怒ってるようで、寺坂の肩を掴むが、寺坂はそれを払い除けて拒絶した。


「気持ちわりーんだよ。テメーも、モンスターに操られて仲良しこよしのE組(テメーら)も」


一瞬の静寂。それを壊したのは隣のカルマだ。


「気に入らないなら殺しゃいいじゃん。せっかくそれが許可されてる教室なのに」

「何だカルマ、テメー俺にケンカ売ってんのか。上等だよ、だいたいテメーは最初から…」


寺坂はカルマに顔を掴まれ言葉を止めた。骨の軋む音がする。いつも喧嘩する時と同じだ。何よりも先に手を出す。


「ダメだってば寺坂。ケンカするなら口より先に手ェ出さなきゃ」

「…ッ!!離せ!!くだらねー!!」


そして逃げるように教室を出て行った寺坂。突然の騒動に皆は困惑したり悩んだり。


「…どー思う?カルマぁ」

「さぁね、一体なに考えてんだか」


[14/09/04]






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