目が覚めると隣に先生はいなかった。カーテンの隙間から入り込む光で朝だと感じる。私一人でベッドを占領してしまったような気がしながら起き出してリビングに向かう。


「おはよう、よく眠れたか?」

「おはよーございます。んー、ぐっすり」

「それは良かった」


そこには既にスーツを着込み髪をセットした先生がコーヒー片手に新聞に目を通していた。ソファーの上には簡単に纏められた掛け布団。


「センセー、ソファーで寝たぁ…?」

「ああ」

「……ごめんなさい、」

「気にするな。朝飯はどうする?昨日の残りと食パン位しかないが」

「…食べる」


トーストでいいかと聞かれ頷くと、出来るまでの間に着替えて来いと言われた。昨日洗った服は乾燥機にかけた後、ハンガーに通してリビングの壁にかけたままだ。それらを持って脱衣室で着替える。その時鏡を見て気が付いたけど、ずっとスッピンだった。今更ながら恥ずかしい。

少し下がったテンションでリビングに戻ると、テーブルの上には朝御飯が用意されていた。ありがたく頂き、その間は先生とたわいない話をした。その後は車で家まで送ってもらった。


「親御さんともう一度よく話し合うといい。本音で話せば絶対に理解してもらえる」

「……うん。ありがと、センセ」


小さく笑って返せば先生も安心したように口許を緩めた。そうして学校に出勤する先生。これから学校に行く気が起きないから今日は休むつもりだ。親はもう仕事に行って居ないだろう。カルマはまだいるかな。そんなことを考えながら家に入れば、廊下の奥から制服に着替えたカルマが出て来た。


「……お帰り」

「……ただいま」


口数が少ないから怒ってる。雨の中携帯も財布も持たずに飛び出して朝帰りしたんだから当然だろう。


「…本トにビッチ先生のトコに泊まったの?」

「んーん、烏間センセーのトコ」

「……」


眉間に皺が寄った。嫌悪感丸出しで分かりやすい反応。


「学校は?」

「今日(きょー)はいー」


交わした言葉はそれだけで、カルマは学校に行った。



***



その日の夜。渚君から聞いた話によると昨日私が家を飛び出した後、カルマはいつまで経っても帰って来ない私を心配して雨の中探してくれていたらしい。渚君も駆り出されたらしく、本トに申し訳ない。

あれからカルマとは口を利いてない。今から謝ろう。そして、殺せんせーに連れられてハワイで観て来たというソニックニンジャの感想を聞かせてもらおう。


[13/12/26]






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