昼休み。今日はカエデと一緒に食べていると、すぐ隣で渚君と食べていたカルマが彼に声をかけた。 「お、見てみ渚君。あそこ」 カルマが指差す先には外でハンバーガーを食べる烏間先生が。いつもあんなのばっかり食べて栄養偏ってそう。…私も人のこと言えないけど。 「…ああ、烏間先生よくあそこでごはん食べてるよね」 「その烏間先生に近付いてく女が1人。殺る気だぜ、ビッチ先生」 真正面から烏間先生に向かっていくイリーナに、皆食べる手を止めて窓際に集まり出した。やっぱり皆もイリーナの今後が心配らしい。 中からじゃ外の声は聞こえない。だけどイリーナがジャケットを脱ぎ捨てて色仕掛けをしているのは分かる。 「ね、どーなるかなぁ?」 「このままじゃ十中八九無理だろうね。だけどビッチ先生もそこまでバカじゃないと思うけど」 すると次の瞬間ジャケットと木を使ったワイヤートラップで烏間先生の左足を取った。崩れた体勢を立て直す前にイリーナに馬乗りになる。教室が一気にざわつく。 「うおお烏間先生の上を取った!!」 「やるじゃんビッチ先生!!」 ナイフを振り翳したものの、そのまま当たる程烏間先生も甘くは無く。けれどどう言う訳か止めたイリーナの手を離し、ナイフは烏間先生に当たった。歓声が上がる。 「当たった!!」 「すげぇ!!」 「ビッチ先生残留決定だ!!」 卑猥で高慢、けれど真っ直ぐ。イリーナは私達E組の英語教師だ。 ほっとした表情で校舎に戻って来たイリーナの周りに皆が集まり彼女を称える。あまり慣れていないのか照れ臭そうにしている。 「イリーナ」 「な、なによ」 「残れて良かったねー」 「…フンッ、当然じゃない!」 強がって言っているように見えて、思わず笑ってしまった。「何で笑ったのよ!」と追及してくるイリーナを軽くあしらって、菓子パンを片手に烏間先生の元に向かう。 「烏間センセー、お疲れさまぁ。最後手ぇ抜いたねー」 「諦めの悪い奴に一日も付き合ってられないからな」 「そっかぁ。そんなセンセーにこれあげるー」 持って来た菓子パンを先生に差し出せば、不思議そうに受け取ってくれた。 「これは?」 「イリーナにお昼邪魔された上にダメにされちゃったでしょー?私もーいらないから、センセーにあげるよ」 「…すまない、ありがとう。気を使わせてしまったな」 「んーん、気にしないでぇ」 烏間先生は目を細めてまた私の頭を撫でた。何だか先生によく頭を撫でられてる気がする。私がちっちゃいから手を乗せやすいのかな。 [13/07/09] |