私の頭の包帯がようやく取れたその日の夜、烏間先生から生徒宛てに一斉送信されたメールが届いた。内容は明日E組に少し変わった転校生が来る、とのこと。カルマは然程興味が無いらしいけど、私は楽しみだな、転校生。



***



「皆知ってると思うが転校生を紹介する。ノルウェーから来た自律思考固定砲台さんだ」


なんか凄いのが来た。想像の遥か斜め上をいく、私の1つ空けた左隣の席に置かれた黒い箱の転校生。機械だけど生徒として登録してあるから殺せんせーからは手を出せない。


「いいでしょう、自律思考固定砲台さん。あなたをE組に歓迎します!」



***



現代文の授業中。殺せんせーが振り向いたその瞬間、固定砲台が遂に動いた。中からショットガンや機関銃が出て来たと思ったら殺せんせー目掛けて撃ちまくる。けれどそれを避けることなど殺せんせーには容易いことで。


「濃密な弾幕ですが、ここの生徒は当たり前にやってますよ。それと、授業中の発砲は禁止ですよ」

「……。気を付けます。続けて攻撃に移ります」


一旦は仕舞われた機関銃。


「弾道再計算、射角修正、自己進化フェイズ5-28-02に移行」


先程の物とは違う機関銃で発砲を続ける。次の瞬間、軽々と避けていた殺せんせーの触手が吹き飛んだ。…隠し弾、確かにあれを人間が撃つのは難しい。


「右指先破壊、増設した副砲の効果を確認しました。次の射撃で殺せる確率0.001%未満。次の次の射撃で殺せる確率0.003%未満。卒業までに殺せる確率、90%以上。よろしくお願いします殺せんせー。続けて攻撃に移ります」


入力済み(プログラム)の笑顔は無機質だった。

それから固定砲台はBB弾を撒き散らしながら授業中休むことなく殺せんせーを狙い続けた。後ろは被害が少なかったけど前の席の方には凄まじい数のBB弾が落ちており、全員で休み時間毎にそれを片付けた。結局今日1日まともな授業が出来ず、皆やつれた様子で帰って行く。


「因果、帰るよ」

「んーっ。授業にならなかったねぇー」

「所詮“機械”だからね。明日もこの調子なんじゃない?」


スリープモードの固定砲台を一瞥してからカルマと教室を後にした。


[12/12/02]






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