《not因果》

カルマがダーツの矢に手をかけたその時、部屋の扉がノックされ、矢を離しながら返事をした。入って来たのは両手に服を持った因果だ。


「カルマぁ、こっちとこっち、どっちが良いと思うー?」

「…右の青」

「青…。じゃあ、」


すると因果は一旦廊下を挟んで向かいにある自室に戻り、また違う服を持って来た。


「これだったらぁ?」

「…それなら左のピンク」


カルマが指差したのは左に持つ淡いピンクの可愛らしいワンピースだ。


「…ピンクかぁ……うん、こっちのワンピースにする」

「どっか行くの?」

「んーっ、明日烏間センセーとスイパラに行くんだぁー」


楽しそうに笑う因果に、カルマは首を傾げた。政府の人間には変わり無いが、それでも今は教師の立場にいる男と二人で出掛けるということに疑問を抱いた。


「テストで1位を取ったご褒美なんだぁっ。テストの前にセンセーと約束したの」

「ふぅん…でもさ、それってデートじゃね?」


カルマの何気無い一言に、因果はぽかんとした表情を浮かべる。


「…デート…。そーか、そうとも言うのか」


今更気付いたような口振りをする妹に、カルマは小さく溜め息を吐く。だが相手はあの烏間、特に何事もなくケーキを食べて帰って来るだろうという結論に至った。彼女のことに無関心そうに見えて色々考えているカルマの本心が垣間見える。


「ま、別にいいけどさ。俺には関係無いし」

「んー、ありがとカルマ。付き合ってくれて」


そう言って自室に戻った因果。カルマはもう一度矢を取って、扉に掛かったダーツボードに投げる。得点はダブルブルだった。


[13/03/19]






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