朝から奥田さんが作ってきた毒と言う名の細胞を活性化させる薬を飲んだ殺せんせーがはぐれ先生化し、教室中はパニックに包まれた。でもはぐれ先生柔らかそう、触りたいな。


「因果、あいつを触りたいなんて思った?」

「やっぱりバレたぁ?」


隣のカルマには私の考えはお見通し、その逆も然り。今は殺せんせーが理系の奥田さんに国語力の大切さを説いている。まあ殺せんせーの言ってることは正しいと思うし、奥田さんもそう思ったようだ。


「あっはは、やっぱり暗殺以前の問題だね〜」

「そーだねぇー」


なんて話をカルマとしながら、はぐれ先生の所為で乱れた机を直して席につく。HRの後は世界史、私はいつも通り枕に突っ伏して睡眠学習に入る。取り合えず世界史が終わったらタイミングをみて昨日思い付いた暗殺をしてみよう。

チャイムの音で私の意識は現実に引き戻され、枕から顔を上げると丁度授業が終わったところだった。そのまま席を立ち、ぱたぱたと殺せんせーの元に向かう。


「殺せんせー」

「何ですか?因果さん」

「昨日のクッキーどーだったー?」

「先生好みの甘さでとても美味しかったです」

「そっかぁ、それは良かっ…たッ!」


殺せんせーの首元を抉るように思い切り右足で蹴りを入れる、が、当然の如く触手で右足を捕らえられた。


「靴底に対先生用のナイフを切って仕込みましたか。アイディア自体は良いと思いますが、単純な蹴りで先生を殺すことは難しいですよ」

「…せんせー、いい加減脚離して。パンツ丸見えなんだけどー」

「にゅやッ!こッこれは失礼……ッ!?」


捕まったままの右足を軸に今度は左足で地面を蹴って殺せんせーの真ん丸の顔を蹴る。が、少し擦っただけ。そのまま空中で両太股のホルスターから拳銃を取り出し、私の脚を離して距離を取る殺せんせーの触手目掛けて撃った。運良く当たったのは右の触手、でもすぐに再生してしまった。もう一度引き金を引こうとした時には触手に抱き抱えられていた。


「あーあ、失敗かぁー」

「とても滑らかに無駄無く動けていましたよ。これからも頑張って下さい。…ですが、女の子があのような行動に出るのはいけませんねぇ」

「見せパンだから別に良いんだけどなぁー」

「そう言う問題ではありません!」

「そんなに怒んないでよせんせぇー。もうしないからさぁ、多分」

「多分じゃダメです!」


私と殺せんせーのやり取りに周りはクスクスと笑っている。殺せんせーは「女の子なんですから…」とぶつぶつ言いながら下ろしてくれた。面倒になったから「もう分かった」と伝えると、殺せんせーは渋々教室を出て行った。


「因果スゴい!」

「そー?ありがと、桃花」

「喋り方からは想像出来ない位速かったよ!因果って動けるんだね〜」

「そんなことないよー」


誉められてると思いながら陽菜乃の言葉に応えて自分の席に戻る。


「48点ってトコだね」

「えー、カルマ厳しぃー」


今の暗殺を採点してくるカルマと軽く言葉を交わした後、もう一眠りしようと枕に顔を埋めた。


[12/08/31]






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