昼休み、私は陽菜乃に起こされて彼女と桃花と共に昼食を取っていた。目の前の二人は机にお弁当を広げ、私は朝コンビニで適当に買って来たメロンパンを頬張りコーヒー牛乳で流し込む。


「ねっ因果、今度勉強教えてよ」

「私も私も!」

「んーっ、私でよければ良いよぉー」


私なんかよりも殺せんせーに聞いた方が良いような気がするけど、二人は乗り気だから私からは何も言わない。


「その代わり、この前オープンした駅中のスイパラ行こ?」

「良いね!一度行ってみたかったんだー」


陽菜乃の言葉に桃花も頷く。スイパラとかはいつもカルマと一緒に行ってたから、女の子と行けるのは嬉しい。後で凛香とカエデも誘ってみようかな。ふと壁掛け時計を見ると、昼休みも半分が終わっていた。……あ、そうだ。予想よりお腹が一杯になったから要らなくなった菓子パンと、小さな紙袋を二つ鞄から取り出して立ち上がる。


「私、ちょっと行ってくるねー」

「パン持ってどこに行くの?」

「んー…餌付け?」


桃花に聞かれてそう答えると、二人は不思議そうな顔をしていた。教室を出て向かった先は教員室。教員室には元気のなさそうな殺せんせーと、コンビニ弁当を食べながらパソコンに向かう烏間先生。なんかシュールな光景。


「殺せんせぇー」

「あ、ああ因果さん。どうかしましたか?」

「センセーにこれあげるー」


殺せんせーの前に差し出したのは、要らなくなった菓子パン。一瞬殺せんせーの目が輝いたように見えた。


「い、良いんですか…?」

「んーっ。はした金だって言ってもセンセーのお金をカルマが募金しちゃったのがいけないんだし」

「はした金は余計です!…ですが、ありがとうございます因果さん」


ニコニコと笑いながらぷにぷにの肉球がある触手で頭を撫でられた。カルマ以外に撫でられたのは初めてかも。菓子パンの他に小さな紙袋も渡す。


「後コレ、手作りクッキー。良かったら食べてー」

「因果さんの手作りですか、…美味しそうですね。是非頂きます」


もう一つは烏間先生の分。差し出すと少し驚いた表情を見せた。


「烏間センセーにもー、はいっ」

「俺に…か?」

「うんっ、烏間センセーに食べて欲しいんだー。…まー味の保証は出来ないけどねぇー」


冗談っぽくクスクスと笑いながらそう言うと、烏間先生は一瞬だったけどいつもからは想像できない程柔らかい表情で受け取ってくれた…ように見えた。烏間先生格好いい、本トに。陽菜乃と凛香が騒いでる訳が分かったかも。


「すまない、ありがたく頂く」

「…センセーカッコぃー」

「はっ…?!」

「ちょッ烏間先生!私の生徒に手を出さないで下さい!」

「ちょっと待て!俺がいつ彼女に手を出した!」


私の呟きが二人の口論に発展していく。…私知ーらないっ。静かに教員室を出て、何事も無かったかの様に教室に戻る。えーっと、次は確か化学だっけ。


[12/08/26]






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