棒倒しはE組の勝利で幕を閉じた。怪我人が出なかったのが何よりだ。


「さぁーさ皆さん、二週間後は二学期の中間ですよ!!」


体育祭が過ぎ、次に私達を待つのは中間テストだ。殺せんせーの気合いが入りまくりでかなりうるさい。


「いよいよA組を越える時が来たのです!!熱く行きましょう熱く!!熱く!!」

「「暑苦しい!!」」


暗殺期限まであと五ヶ月。殺せずに勉強で時間が過ぎていく日々に、みんなどこか焦りと不安を感じているようだった。

放課後、山道途中。これから陽菜乃と一緒にサイベリアで勉強する予定だ。


「俺に任せろ。スッキリできるグッドアイディア見つけたからよ」


聞こえてきたのは少し前を歩いていた岡島達の声。これから建物の屋根伝いにフリーランニングを応用して隣駅まで行くと言うのだ。けれど裏山以外でのそれは固く禁止されている。


「勉強を邪魔せず暗殺力も向上できる!!2本の刃を同時に磨く、殺せんせーの理想とするところだろ!!」

「…良いかもな」

「うん」


そうして言い出しっぺの岡島を先頭に、クラスの半数近い人数が飛び出して行った。


「元気だねぇ若人は」

「楽しそ〜。安全そうなら明日は私も行こうかな」


陽菜乃は呑気なことを言ってるけど、これは止めた方が良かった気が……。


「因果、行こ〜!」

「……んー」


なんか、嫌な予感がする。


***


「「なにしてんの殺せんせー」」


カルマと二人で登校しようと玄関を出ると、何故かそこには変装した殺せんせーがいた。


「おはようございますカルマ君、因果さん。実は……」


どうやら嫌な予感は的中してしまった。あのあと岡島達は不注意により老人に怪我を負わせてしまったらしい。しかも連帯責任によりクラス全員テスト勉強禁止、更にその老人が経営する施設で二週間タダ働きだと言うのだ。……やっぱりあの時止めておくんだった。


「それで、それ言う為にわざわざ来たの?」

「問題を起こした生徒達にビンタしたのですが、全員平等に扱わないと不公平なので……」

「あー、なるほどねぇ。別にいーよ、やっちゃって」


なんだか殺せんせーが可哀想だから、素直に受けることにした。申し訳なさそうにする殺せんせーは「許してつかあさい」とプニプニの触手でビンタしてきた訳だが、ペタッと軽く触れる程度の力だから痛くも痒くもない。


「それでは先生は他の生徒の所に行きます。二人は学校ではなく、この場所に来てください」

「……わかばパーク?」


これから私達が二週間タダ働きする保育施設らしい。殺せんせーから渡された紙には最寄り駅から施設までの地図が描かれていた。

そして殺せんせーが行ってから、二人揃って溜め息を吐いた。


「行くしかないねぇ」

「とりあえず寺坂殴る」

「やっちゃっていいと思うよ」


カルマに手を引かれ、わかばパークへと向かう。あ、コンビニ寄って昼ご飯買っていかないと。

これから二週間烏間先生に会えないのか。そう思うと寂しいな。……気晴らしにおっちゃんのとこで撃たせてもらおう。


[16/03/30]






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