屋上は足場が狭く、戦い易い様にとコユリ達は路上へと降りた。スプラッシュモンはそれを追う。ある程度の距離を置き、両者は構える。



「覚悟しろよ、スプラッシュモン!」

「貴様達だけでこの私に勝てると思っているのか?」



スプラッシュモンは余裕の表情を浮かべている。少数に負ける訳がない、そう思っているのだろう。



「――…コユリ達だけじゃないぞ!」

「俺達がいる事を忘れたか!」

「ッ!何故貴様達が……!」



突然現れたタイキ達の姿にスプラッシュモンは驚きを隠せないでいる。その隙にリボルモンがスプラッシュモンからネネのXローダーを取り返した。



「キリハくん、タイキくん、ネネちゃん!皆無事だったんだね!」

「ああ、コユリも怪我は無いか?」

「うん、大丈夫っ」



コユリはすぐさまキリハ達の元へと駆け寄った。無事だと分かり、その顔が一気に綻(ほころ)ぶ。



「貴様等はドリッピンで爆発した筈だ!」

「残念だったな。あの時ビルに入ったのは、バリスタモンに作ってもらった張りぼてさ」

「っ…貴様、いつから騙された振りをしていた……!」

「ドルルモンがルカを怪しいと言った時から、ルカの行動には注意していた」

「何ッ…!?…そ、それは…最初からか……!」



まさか自分が騙されていたと言う事に、スプラッシュモンはかなり動揺している。タイキの方が一枚上手だった様だ。



「――…信じられるのは自分だけ。だからこのサイバーランドには、お前だけしかいない!」

「フンッ…!それがどうした、私は一人で充分だ!」



タイキはスプラッシュモンにこの国のデジモン達の行方を問う。するとスプラッシュモンは口許を歪ませながら、ドリッピンの力によって争いを始め、一人残らず消えてしまったと答えた。その言葉に、コユリは悲痛に表情(かお)を歪める。



「――…全てのドリッピン達よ、私の身体へ戻って来い!ダークネスローダー、デジクロス!」



ダークネスローダーが発動されると、街の至る所からドリッピンが飛び出し、スプラッシュモンの身体へと吸収されていった。それに伴(ともな)い、スプラッシュモンは巨大化していく。



「タイキ、コイツやべぇぜ。デカくなってる!」

「よしっ!皆行くぞ!」



タイキの掛け声により、それぞれがXローダーを掲げて戦力をリロード、そしてデジクロスさせた。

シャウトモンX4達がスプラッシュモンへと視線を戻すと、そこには巨大な脚があるだけ。更に視線を上げていくと、桁外れに巨大化したスプラッシュモンが見下ろしていた。



「――…ハイドロプレッシャー」

「ッ!メタルグレイモン!」



巨大化したのに比例してその技は恐ろしい程威力を増し、メタルグレイモンは後ろに押し飛ばされてしまった。シャウトモンX4とジェットメルヴァモンが攻撃するが、スプラッシュモンは水の為、全く通用しない。

これだけでも力の差は歴然だと言うのに、スプラッシュモンは自身の着ているスーツを脱ぎ捨てる。

そしてスプラッシュモンは、正しく水虎へと姿を変えたのであった。





上手だったのは





------(11/12/04)------
久し振りの更新です……orz 書いている内に二話分の長さになってしまったので、半分にしました。長すぎると読み辛いので……。

前にも書きましたが、スプラッシュモンの倒し方がアニメとは違います。かなり呆気ないので、温かい目で読んで頂けると嬉しいです´ω`←





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