普段ならすぐさまキリハの元へと駆け寄るが、コユリも馬鹿ではない。先程のヒョウルモンの見解に、目の前にいるキリハが本物かどうか疑っている。それはヒョウルモンとシキアモンにも同じ事が言え、一瞬にして緊張感に包まれた。



「…キリハ…くん……?」

「…コユリ…助けてくれ……!デスジェネラルが現れた……、早くしないとタイキ達がッ……」



――…あっ……キリハくんじゃない。

コユリはDWに来てから大半の時間をキリハと共に過ごした。その為キリハの性格は大体分かっているつもりだ。そして、今の言葉で目の前にいるキリハが偽者だと確信した。



「……貴方、誰?」

「なっ…何を言ってるんだコユリ……!」



コユリの言葉にキリハはたじろぐ。その背後にはいつの間にかラティスモンが回り込んでいた。



「ッ!いつの間に……!」

「バレバレですよ?」



ラティスモンがキリハの肩に手を置くと、その姿が一気に揺らめき、本来の姿を現した。このサイバーランドのデスジェネラル、スプラッシュモンだ。



「…っ…貴様、何故気付いた」

「キリハくんは人一倍プライドが高いから、いくら負けそうな時でも人に助けを求める事は絶対にしないッ!」

「フッ…だがその"キリハくん"とやらはまんまと騙されて木っ端微塵に吹き飛んだがな!」

「ッ?!」

「隙だらけだぞ!ハイドロプレッシャー!」



その言葉に一瞬揺らいでしまったコユリ目掛け、スプラッシュが技を繰り出す。

だがその技は、コユリの前に飛び込んだラティスモンによって別方向へと逸(そ)らされてしまった。



「何ッ……?!」

「っ…ラティスモン!」

「私(わたくし)でもこれ位の芸当は出来ますわ」



スプラッシュモンは悔しそうに下唇を噛み締めたが、何か策を思い付いたのか、またすぐに不敵な笑みを浮かべた。



「フッ……ハイドロプレッシャー!」

「何度やっても同じです!」



スプラッシュモンとラティスモンの攻防戦が続く。だがシキアモンはスプラッシュモンの行動に違和感を感じていた。



「ッ……きゃあっ!」

「なっ……?!」



二人の戦いに気を取られていたコユリはスプラッシュモンのドリッピンに不意を突かれ、下へと突き飛ばされてしまった。



「コユリッ!」

「主っ……!」

「余所見とは随分余裕だな!」



一瞬の浮遊感から、コユリは一気に地上へと落下して行く。ラティスモン達が助けに行こうとするが、スプラッシュモンの間髪を容れない攻撃により阻(はば)まれる。

真っ逆さまに落ちていくコユリ。自らの死のイメージが目に浮かぶ。

だがそれと同時に、ヒョウルモン達ピュアグロウ、タイキにネネ、そしてキリハの姿が脳裏を過った。

――…っ…私はまだ…死ねないッ……!

遠くなっていくデータの空を睨み付け、ホルダーからXローダーを取り出した。



「リロード!リーツァモンッ!」



Xローダーから飛び出したリーツァモンの背に乗り、窮地を脱した。そのままビルの屋上まで飛べば、スプラッシュモンに押され気味のヒョウルモン達の姿がある。



「コユリ!」

「チッ……まだ生きていたのか」



コユリの姿に、ヒョウルモンは口角が上がる。だがスプラッシュモンはそれが気に入らないようで、不愉快そうな表情を浮かべた。



「コユリが戻って来た事だし、」

「そろそろ反撃と行こうじゃねェか……!」





脳裏を過るは





------(11/11/30)------
ラティスモンの設定が全く生かされていなかったので、それらしいシーンを入れてみました。

番外編はある程度書けた所で公開します(´ω`;) 第二期終わるまでには絶対に公開しますので……。





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