他にめぼしいものは無いと判断し、コユリ達はホエーモンの中から外へと出た。流石に全員がスパロウモンに乗るのは大変だと言う事で、コユリとキリハだけメイルバードラモンに乗って移動する事になった。

そこからシャウトモンの腹が盛大に鳴った事を切っ掛けに、ルカの案内によって一同は食料庫へとやって来た。



「ここが食料庫なのっ」



そう言いながらルカがボタンを押すと、コユリ達の足元の床が抜けた。真っ逆さまに落ちる身体。下には針が並べており、刺さればそれまでだろう。タイキ達は何とか針にしがみつき、コユリもラティスモンに抱き抱えられて九死に一生を得た。



「ごめーん、罠だったみたい」

「…まあ、間違いは誰にでもあるさ……」



全員は何とか落とし穴から抜け出し、気を取り直して食料庫の前に立つ。



「じゃあ改めて、」



先程とは別のボタンをルカが押すと、今度は目の前のシャッターがコユリ達へと倒れて来た。思い切り頭をぶつけ、痛さに顔を歪めながらシャッターの下から出る。

それからもルカがボタンを押す度に罠が作動し、コユリ達は死に物狂いでそれらを潜(くぐ)り抜けて行く。食料庫の扉が開く頃には、全員が疲れきった様子で息を乱している。



「見て見てーっ!扉開いたよー!」

「…ああ…良かったな……」

「…良くねェよ」



食料庫の中に入ると、人間界の食べ物がテーブル一杯に並んでいた。それを見た途端、シャウトモン達は目を輝かせながら料理にがっついていく。



「腹拵(ごしら)えより、デスジェネラルを捜す事が先決じゃないのか?」

「まあ、そんなに焦るなよ」



コユリはホールケーキを見つけ、嬉しそうにそれを食べる。半分まで食べ終わった時、キリハが何も食べていない事に気が付いた。



「キリハくん、何も食べなくていいの?」

「ああ、別にいい。……生クリーム、ついてるぞ」

「へっ?どこについて……」



そう言われて生クリームを拭こうとしたコユリだったが、キリハに腕を引かれ、そのまま頬についた生クリームを舐め取られた。



「……甘いな、」

「言ってくれれば自分で拭いたのに」

「コユリ、反応が可笑しいよ」

「え?」



重箱と箸を持ったシキアモンがコユリに的確な指摘をする中、ヒョウルモンとキリハはいつも通り無言で火花を散らしている。

そんな二人の横では、ルカが赤い液体が入った瓶をタイキの元に持って来た。更にコユリとキリハ、ネネにも同じ物を手渡す。



「ほらっ、三人の分もあるよ!」

「ドリルバスター!」

「「!」」



ドルルモンは無意識の内にルカに攻撃を浴びせ、その衝撃で瓶が全て割れてしまった。

すると今度は、桃色の液体が入った瓶をコユリとネネの元へと持って来たルカ。



「見て見て、ネネちゃんコユリちゃーんっ!バグラ軍特製の化粧水だよ!」

「化粧水?」

「そんなものまであるんだね」

「ほら、塗ってみようよ!」

「…うん……、」



化粧水がネネの手に渡ろうとした時、ドルルモンはまたルカに攻撃を浴びせた。その際、瓶から零れた液体が動くのをヒョウルモンとラティスモンは見逃さなかった。



「……今の、どう思う?」

「…敵は液体を操る能力を持っている可能性があります。その場合かなり厄介な相手だと……」

「……そうか。もしそうなら要はお前だな、ラティスモン」

「まさかヒョウルモンの口からそんな言葉が聞けるなんて。明日は槍でも降るんじゃないですか?」

「う、煩いっ……!」



クスクスと笑うラティスモンに、気恥ずかしくなったヒョウルモンは外方(そっぽ)を向いた。その直後二人の耳にルカの泣き声が聞こえ、そちらへと視線を移す。



「――…ドルルモンが疑い深いのは昔バグラ軍にいた所為なんでしょ?」



二人だけではない。彼女の言葉にシャウトモン達も食べる手を止めてそちらを見る。

ルカが聞いた話によると、バグラモンはドルルモンが軍に戻って来たらデスジェネラルの地位を渡すとの事。

ヒョウルモンはくだらないと言わんばかりの表情でその話を聞き流していると、突然ルカに話を振られた。



「あっ、それからヒョウルモンについても話してたよ」

「あ?俺の事?」

「昔の様に"犬"として忠誠を誓うなら、今までの事は水に流してやるってさ」

「くだらねぇな、ンな事死んでもごめんだ」



そう言い切ったヒョウルモンに、バグラ軍に戻りはしないと分かっていてもコユリは内心ほっとした。

テーブルに並んでいた料理を全て平らげたクロスハートは、床に寝転がっている。



「しかし妙だな。全く敵が現れない」

「そう言えばそうだね。外もやけに静かだし……」

「ホエーモンはどうしたのかしら」

「うーん……」

「私が様子見て来るよっ」



そう言って飛び跳ねながら食料庫を出て行ったルカをドルルモンが追う。暫(しばら)くして、慌てた様子でルカが戻って来た。アンドロモンの集団とドルルモンが一人で戦っていると話しており、全員がその場に向かう。



「――…ドルルモン!何処だーッ!」

「タイキ君!ルカちゃんが見当たらないわ!」

「何っ!」



周囲を敵に囲まれ、攻撃が絶えない。そんな中でドルルモンとルカを捜す事は出来ず、目の前の敵を倒す事を先決とした。



「ピュアグロウ、デジクロスッ!」

「――…神々の祈り(プリーチェノヴァ)!」

「最果ての光景(アンピオリンテ)!」



一向に減らない敵に、段々と痺れを切らす一同。そんな中でソリフィアモンだけは活き活きと戦っている。

やっと全てを倒し終わり、ドルルモンとルカを捜しに行こうとした時、前方から何かがこちらに近付いて来た。

現れたのは、メタルティラノモンを引き連れたドルルモンだった。





引っ掻き回す





------(11/10/13)------
生クリームの件のキリハは、かなり吹っ切れてます(笑) 「少し強引なアピールを」と思い、意を決して舐めたはいいけど当の本人が分かってくれなかった、という何とも報われない話ですね((蹴

ふと思ったのですが、本編でコユリとシキアモン達の出会いが書けないんじゃないかって……(・ω・;) なので、番外編として書くと思います。読まなくても本編には全く支障を来たさないと思います、……多分←





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