第三の国に着いた途端、目に飛び込んで来たのは色取り取りの花で咲き乱れる花畑だった。



「――…甘い蜂蜜の匂いもするわ」

「…本当だ……!」



ネネの言った通り、仄(ほの)かに漂う蜂蜜の匂いが鼻腔を擽(くすぐ)る。一見平和に見える国だが、上空には悍(おぞ)ましい色のクリスタルが浮かんでいる。

一同が歩き始めてすぐに前方から覚束ない足取りのデジモン達がやって来た。その様子から、只事ではない事が窺(うかが)える。

その時、森の方から聞き覚えのある声が木霊した。声のする方へ駆け付けると、フォレストゾーンで出会ったライラモンがハニービーモン達に襲われていた。



「ライラモン!」



コユリ達に気が付いたイグニートモンは、音波の様なものをドルルモン達に浴びせ、動きを封じ込める。この事態に、コユリはヒョウルモンを、キリハはグレイモンをリロードした。



「ロックダマシー!」

「蛇雷(レーペレボルト)!」

「メガフレイム!」



三人の攻撃によってイグニートモンは飛ばされ、厄介な音波が止まった。



「――…邪魔をしよって。誰だ、お前達は」

「っ…この声は、どこから……?」



突然聞こえて来た声。それはイグニートモンの傍を飛ぶ、小さなデジモンの声だった。



「私は、このハニーランドのデスジェネラル…ザミエールモン様だ……!」

「何ッ…!」

「アイツが……?!」

「嘘っ…」

「あの、ちっこいのが?」



想像以上に小さいデスジェネラルに、一同は驚きを隠せない。その隙にイグニートモンによってまた動きを封じられてしまった。更にハニービーモンに刺され、全員力無く地に伏した。



「ヒョウルモン!」

「チッ……。力が入らねェ……」



その時、後方から雄叫びが聞こえ、振り向くと一人のデジモンがこちらに向かって走って来た。また新しい敵かと警戒したが、そのデジモンはハニービーモンを次々と倒して行く。

メルヴァモンと呼ばれたそのデジモンの出現により、ザミエールモンはハニービーモン達と共に撤退しようとする。それを追おうとしたメルヴァモンだったが、イグニートモンの音波によって身動きが取れなくなり、ザミエールモン達を逃してしまった。



「――…じゃあお前達、私に付いて来い。…行くぞ!」

「……何だか強引ね」

「…取り合えず、一緒に行こう」

「ヒョウルモン、大丈夫?Xローダーに入ってた方が……」

「またいつ敵が襲って来るか分からねェからな、このままで良い」



言われた通り後を付いて行くと、メルヴァモン達のアジトに案内された。その中にはハニービーモン達にパワーを吸い取られてしまったデジモン達が沢山居た。



「――…食ったらザミエールモンの城を攻める。お前達、付いて来い!」

「威勢が良いな。だがどうやって攻めるんだ?」



キリハの問いに、メルヴァモンは正面突破だと答えた。作戦などは無く、意気込みだけで倒そうとするメルヴァモンに、キリハは付いていけないと言い放った。



「――…俺達は別行動を取らせてもらう。コユリ、行くぞ」

「う、うんっ……」

「キリハ、コユリ……!」





蜂蜜の香りに





------(11/09/27)------
コユリの台詞少なっ!(゚Д゚;)← なんだか特に大きな展開も無く、ぐずぐずになって終わりましたが、次からはコユリとキリハのターン!になると思いますので……(´`;)





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -