ソリフィアモンとルーツァリモンの姿に、ドルビックモンは鼻で笑った。 「何が可笑しい……!」 「愚かにもまた正面から向かって来るとはな。貴様等に勝ち目は無い!私の真の力を見せてやる……強制デジクロスッ!」 ドルビックモンはダークネスローダーを掲げ、周囲にいたデジモン達を取り込んで姿を変えた。 「ドルビックモンダークネスモード!……タイラントコルブラントッ!」 強制デジクロスによって更に力を増したドルビックモンの技に、ソリフィアモンとルーツァリモンは反撃も儘(まま)ならずに一方的にやられていく。目を覆(おお)いたくなるような惨(むご)たらしい光景に、コユリは下唇を噛み締め、Xローダーを握る手に力が入る。 「どうだ?素直に負けを認め、許しを乞(こ)えば命だけは助けてやる」 「…ハッ……。そんな事、誰がするか……!」 「…そのような事は決してしないっ……!」 ソリフィアモンとルーツァリモンはそう言いながら傷付いた身体で蹌踉(よろ)けながらも必死に立ち上がる。 「ならまた逃げるか?負けては逃げを繰り返し、一生私に負け続ける…愚者の真似事でもすると言うのか?」 「……っ愚かだと言われたっていい!私達は命がある限り何度でも挑み続け、必ず貴方を倒してみせる!」 「コユリの言う通りだ。私達は絶対にお前を倒す!」 「貴様を倒すまでは、我等は死なない……!」 「私達はピュアグロウ…!全てを糾(ただ)し導く光ッ!」 その瞬間、コユリ達の思いに共鳴したようにXローダーの画面とソリフィアモン、ルーツァリモンが光輝き出した。 「ッ…な、なに……?!」 「――…超進化だ!」 その声に振り返れば、メイルバードラモンとスパロウモンに乗ったキリハとタイキ、ネネがこちらに向かって飛んで来ていた。 「ッ…キリハくん!タイキくん、ネネちゃん!」 「コユリ、超進化しろ!」 「…超、進化……」 コユリは"β"と浮かび上がったXローダーの画面を見つめ、決心したようにそれを掲げた。 「…ソリフィアモン、ルーツァリモン、超進化ッ!」 その瞬間、ソリフィアモンとルーツァリモンの光が増したと思えば、二人は姿を変えた。全てを照らすような黄金色の鎧を纏ったその姿に、コユリは言葉を零した。 「……綺麗っ、」 「何が超進化だ…!ドラゴンブレストニックファイアッ!!」 ドルビックモンの技を正面から受けたβ(ヴィータ)ソリフィアモンとβルーツァリモンだが、全く効いていない。 「…何ッ……?!」 それにたじろぐドルビックモンだったが、すぐに炎でコユリ達を囲んだ。 「っ…!…βルーツァリモン、氷上の闘技(ロレラジェレード)ッ!」 コユリの声と共に、βルーツァリモンから冷凍ビームが発射される。それは周囲を氷の世界に変え、炎までもが凍り付いた。更にドルビックモンの足を凍らせ、その場から動けないようにした。 「私の炎を凍らせただとッ……?!」 「βソリフィアモン!」 「ああ、これで最後だ!…女神の舞踏曲(バレラインディアーノ)ッ!」 ドルビックモンの頭上へと飛んだβソリフィアモンは、藻掻くドルビックモンを槍で貫く。それが致命傷となり、ドルビックモンは捨て台詞も言えないまま粒子となって消えた。 その光景に、一気に緊張の糸が解けたコユリはその場にへたり込んだ。 「……コユリ」 「あっ…キリハくん…」 「何故戻って来たんだ」 「…皆を…DWを救う為に私は戻って来たの」 真っ直ぐな紅の瞳。コユリがどれ程本気なのか、キリハにはすぐに分かった。そして、へたり込む彼女に手を差し延べた。 「……無茶はするなよ」 「っ!…うん、ありがとう」 コユリは笑顔でキリハの手を取り、立ち上がった。 「コユリ!」 「皆っ!」 駆け寄って来たヒョウルモン達を彼女は労(ねぎら)う。その隙を見て、ネネがキリハに近寄った。 「良かったわね、キリハ君」 「……何がだ」 「あら?コユリがいなくて淋しがっていたと聞いたけど?」 「ッ……?!」 「しかも毎晩寝言で彼女の名前を言っていた、とかね」 「なんだ、キリハにもそういう所があるんだな」 「ち、違うっ……!」 キリハは必死に否定するが、説得力は無く。とある情報筋から聞いた、キリハとコユリのただならぬ関係を知っているネネは、口許に笑みを浮かべた。 「何の話をしてるの?」 「っ…気にするな」 「?」 「コユリ、久し振りね」 「うんっ、久し振り」 笑顔で嬉しそうにしているコユリの姿に、ネネも釣られて微笑んだ。外方(そっぽ)を向いたキリハだったが、それが気に入らない様で眉間に皴が寄る。その光景に、タイキは苦笑いを浮かべた。 煌めいた ------(11/09/06)------ 超進化の時の台詞は本当に臭い台詞だと思ってます← そしてドルビックモン(弟)が呆気ないというね(´・ω・`) 超進化の名前はβに決まりましたが、一応候補にはΔ(デルタ)もあったんですよね´` とある情報筋、とはメイルバードラモンです(^w^) つい言っちゃった、みたいな(笑) |