「――…この国を出るには、二人のドルビックモンを倒さないといけない……」 「そういう事。デスジェネラルじゃないけど、この第二エリアはドルビックモンの弟が支配してる」 「強いのか?そのドルビックモンって奴は」 「シキアモンが言った通り、弟はデスジェネラルではない。だが、ダークネスローダーを持っているのは事実だ」 「…ダークネス、ローダー……」 ダークナイトモンがデスジェネラルに与えたデジクロスの力。それにより、シキアモン達が手も足も出ない状況が続いていた。 「ダークネスローダーに加え、弟の方は炎を操る力を持っています。かなり厄介な相手かと……」 「炎…か。……ああ、そうだリーツァモン。さっきお前の仲間に会ったぞ」 「本当か……!」 「ここまで連れて来てもらったの」 「…無事だったか、良かった……」 「無事という訳にはいかなくなったようじゃぞ」 ハクシンモンの言葉に、一同の視線がそちらに向く。ハクシンモンの千里眼がギョロリと動いた。 「ピュアグロウと繋がっているのでは、そんな疑惑が浮上しているようじゃ」 「まさか私達を乗せた事がバレたんじゃ……?!」 「その可能性は大きいのう」 「そんな……!」 「コユリ、助けに行くぞ!…ハクシンモン、敵の数は?」 「少し多いが……ドルビックモンはまだ来ていないようじゃ」 その情報を頼りに、一同はアジトを飛び出した。 そこに向かうと、ハクシンモンの言った通り、リーツァモンの仲間達が他のドラゴンデジモンに囲まれ、攻撃を受けていた。 「ピュアグロウ、デジクロス!」 「神々の祈り(プリーチェノヴァ)!」 「……ッ超A級反逆者、凛堂コユリだ!」 「ドルビックモン様に報告を!」 「そうはさせるか……魔王の息吹(トルジェラメント)!」 ソリフィアモンとルーツァリモンが次々と敵を倒していく中、コユリがリーツァモンの仲間達へと駆け寄った。 「ごめんなさいっ……。私達の所為で……」 「そんな事はどうでもいい!早く逃げろ!」 「え?」 「ドルビックモンが来る!」 「――…もう来ているッ……!」 その声と共に辺りが炎に包まれ、コユリは咄嗟(とっさ)にリーツァモンの仲間達をXローダーに入れた。 そして彼女達の前にこの第二エリアの支配者、ドルビックモンが姿を現した。 「あれが…ドルビックモン……!」 「強そうな奴だな……」 「強そう…ではない。私は強いのだ!…ドラゴンブレストニックファイア!」 ドルビックモンの技を受けたソリフィアモンとルーツァリモン。たた一撃だというのにその力は絶大で、二人は膝をついた。 「ソリフィアモン!ルーツァリモン!」 「…大丈夫だ、まだ行けるっ……!」 「右に同じくッ……!」 そう言ってドルビックモンに向かって行く二人だが、簡単にあしらわれてしまう。 「女神の制裁(ベロナスクーレ)!」 「甘い…!」 「なっ……?!」 「最果ての光景(アンピオリンテ)ッ!」 ルーツァリモンの攻撃によって周囲が凍り付き、肌を刺すような寒さが襲う。しかし、ドルビックモンはそれすら炎で溶かしてしまった。 「ルーツァリモンの氷が…溶かされた……?!」 「噂のピュアグロウもこんなものか……興醒めだな。さあ、これで最後だ!…ドラゴンブレストニックファイア!!」 ドルビックモンの強力な技により、ソリフィアモンとルーツァリモンは遂に倒れてしまった。 「……そんなっ…、」 「無様だな、ピュアグロウ」 「くっ……ま、まだだ……!」 「ソリフィアモンッ!」 「っソリフィアモン……、ここは一旦引くぞ……!」 ルーツァリモンの言葉に、ソリフィアモンはボロボロの身体でコユリを抱き上げた。 「逃がさんぞ!」 「っホワイトアウト!!」 急な猛吹雪に一瞬怯(ひる)んだドルビックモンの隙をつき、ソリフィアモンはルーツァリモンに乗ってその場から逃げた。 コユリにとって、これが初めての敗北となった。 圧倒的な実力差 ------(11/09/01)------ ドルビックモン(弟)の一人称が"私"なのは、わざとなので、別に間違っている訳ではないです← 何かしら区別をつけた方が良いと思ったので(笑) |