コユリが長い髪をタオルで拭きながらリビングに戻ると、ヒョウルモンは飾られていた写真を眺めていた。 「……なあ、コユリ」 「どうしたの?」 「この写真、お前のガキの頃のか?」 「え?うん、そうだよ?」 「で、こっちが家族写真か?」 ヒョウルモンが言った写真には、幸せそうな一組の家族が写っていた。真新しい制服を着たコユリの後ろに、彼女と同じ白銀の髪を持つ父と紅の瞳を持つ母が立っている。 「うん、中学校の入学式の時に撮ったの。……でも、どうして?」 「……いや、少し気になっただけだ」 「?」 ――…似てると思ったら、そうだったか……。 コユリは首を傾げながらソファーに座り、ドライヤーで髪を乾かして丁寧にブラシで梳かす。 「どうやったらDWに戻れるのかな……」 「今日はもう遅い。戻る方法は明日考えるとして……」 「――…ただいまー!」 「!」 玄関から聞こえてきた声、その主はコユリの母だ。いつもより早い帰宅に、コユリは驚いている。 「お、おかえり」 「ただいま、コユリ。ご飯まだ残ってる?」 「うん、残ってるよ」 「ありがとう…あ、そうそう……。いつも良い子にしているコユリにプレゼント」 「?」 渡された紙袋を開け、中身を取り出して広げる。それは、腰の青いリボンが特徴的なワンピースだった。 母は夕食を温め直し、結わえていた金髪を解きながらワンピースの説明をする。 「それ、今度出す新作の一つなの……って言っても、まだ試作品なんだけどね。その青いリボンがポイントで……」 「青……」 ――…キリハ、くん……。あの時の返事……まだしてないや……。 「もしかしてコユリ、青嫌いだった?似合うと思ったんだけど…やっぱりピンクの方が……」 「う、ううん…違うの!大丈夫、青、好きだから。……もう寝るね、お休みなさいっ」 「?…お休みー」 慌てて母親にそう言い、ワンピースを持って自室へと戻った。 「お前の母親、何の仕事してるんだ?」 「ファッションデザイナー兼社長……かな」 「あの歳で社長か……父親も同じなのか?」 「ううん、お父さんはIT企業の社長。まあ…色んな分野で活躍してるみたいだから、詳しい事は知らないんだけどね。海外に行く事が多いんだーっ」 ワンピースをハンガーで壁にかけながら、コユリはヒョウルモンに言った。 ――…両親が二人してそんな仕事してたら、コユリが一人になるのも納得がいくな。 コユリは疲れた様にベッドに横になる。 「ねえ、ヒョウルモン」 「なんだ?」 「……DWに戻れるかな?」 「お前が願えば、絶対に戻れるさ」 「そう…だね。……お休み、ヒョウルモン」 「ああ、お休み」 久し振りのベッドに安心感を覚え、コユリは瞼を閉じた。 そして明日へと ------(11/08/29)------ 短い……orz 貰ったワンピースのイメージ画像を、第二期の設定に載せます´` |