照り付ける太陽。波打つ海。

ゾーン移動をして真っ先にコユリとキリハの瞳に飛び込んで来たのは、壮大な海だった。



「おーい!コユリー!キリハー!」

「あ、タイキくん!」



タイキの声に二人が振り返ると、そこには何故か全員水着姿のクロスハートがいた。



「…何でそんな恰好をしているんだ」

「何でって…泳ぐからに決まってるだろ?」

「……ハァ、付き合いきれんな。コユリ、行……」



横にいる筈のコユリがおらず、何故か遠くの方でアカリとネネに捕まっていた。



「コユリさんも一緒に泳ぎましょうよ!」

「人間界から取り寄せたデータで作った水着も有るわよ」

「え、でもキリハくんが……」

「彼の事は気にしなくていいわ。さ、行きましょう」



ネネはキリハと目が合うと、意味深な笑みを浮かべ、アカリと共にコユリを更衣室へ連れて行った。



「お前も着替えて来いよ。水着、結構あったぜ?」

「誰が泳ぐか。コユリを連れ戻して……」

「なんだ、コユリの水着姿、見たくないのかよ」

「ッ…お前は何を言って……!」



タイキの言葉に、キリハは明らかに動揺した。それを見たタイキが更に押す。



「それに万が一コユリが溺れたら、その恰好のまま飛び込む気か?」

「……っ分かった、着替えればいいんだろ」



そう言いながら更衣室に向かって行ったキリハの後ろ姿に、タイキは呟いた。



「素直になればいいのに……」

「タイキ!早く泳ごうぜ!」

「ああ!」



シャウトモンに呼ばれ、波打際へとタイキは走った。

暫(しばら)くして、キリハはパーカーと水着姿で更衣室から出て来た。それに気が付いたタイキがキリハを呼ぶが、キリハはそれを無視してパラソルへと歩いて行ってしまった。



「――……っ絶対似合ってないよ……!」

「大丈夫ですから!」

「似合ってるわよ、自信を持ちなさい」



更衣室の方から聞こえてきた女子チームの声に、全員が動きを止めてそちらに視線を移した。すると、アカリとネネ、そしてその二人の後ろに隠れたままのコユリが戻って来た。



「遅かったなー!」

「コユリさんが恥ずかしがっちゃって」

「ほら、コユリ。キリハ君に見てもらいなさいっ」

「ちょっネネちゃ……きゃっ……!」

「ッ……!」



コユリはネネに背中を押され、蹌踉(よろ)けながらキリハの前に出た。水着姿に自信が無く、もじもじしているコユリの姿に、キリハは固まってしまった。



「…キリハくん……ヘン、かな?」

「い、いや…似合ってるぞ」

「本当?」

「ああ、」



そう言いながらも、露出度の高すぎるコユリの水着姿にキリハは直視出来ないでいた。一方のコユリは、キリハにそう言われほっと胸を撫で下ろしている。



「コユリさんとネネさんの水着姿……!まるで海辺に舞い降りたヴィーナスだ!」

「ゼンジロウ、それは言い過ぎじゃ……」

「何を言っているんだ工藤タイキ!お前にはあの美しさが分からないのか!」

「あ、ああ…まあ似合ってるとは思うけどさ……」



ゼンジロウがコユリに見取れている事に気が付いたキリハは、己の着ていたパーカーをコユリの肩にかけた。



「……着てろ」

「え?」

「良いから着てろ……!」

「う、うん?分かった」



それは、想いを寄せているコユリの水着姿を誰にも見せたくないという独占欲にも似た感情からきた行動だった。





つかの間の休息にて





------(11/08/28)------
本当は一話で纏めたかったのですが、何だか予想以上に伸びてしまいました……(´`;) なので、本当に書きたかったネタは後編に持ち越します←

みんなの水着はご想像にお任せします(´ω`) まあ、ネネは漫画版で水着になってましたが……。

このゾーンに名前をつけるとしたら、リゾートゾーンですかね(笑)





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