デジクロスした瞬間、ソリフィアモンはバグラ軍、ルーツァリモンはトワイライトへと飛び込んで行く。



「神々の祈り(プリーチェノヴァ)!」

「最果ての光景(アンピオリンテ)!」



元々好戦的な二人は、この状況に燃えているのか、いつも以上の力で敵を圧倒して行った。



「タイキはネネを助けに行け!」

「お願い、ネネちゃんを助けてあげて!」

「ああ、ここは俺達に任せろ!」

「シャウトモン、コユリ、キリハ……!」



タイキはスパロウモンと共にネネを救出しに向かった。ネネをタイキに託した三人は、また戦闘に集中する。



「コユリ……!」

「キリハくん…?どうしたの?」

「俺から突き放してこんな事を言うのは可笑しな話だが……」

「?」

「また俺と来ないか?」

「っ……!」



戦闘の合間に言われた誘いに、コユリは戸惑った。ソリフィアモンとルーツァリモンに指示をしながら思考を巡らせる。



「あの時、俺はお前を傷付けて……」

「ネネちゃんから聞いたの」

「なにっ……?」

「って言っても、ヒョウルモン伝手(づて)なんだけどね。あれは全部私が言わせた、怨むなら私を怨め。そうネネちゃんが言ってたんだって」

「ネネが……、」

「変な話だよね。私は誰も怨んでないし、傷付いてもいないのに」



横で戦いながらも、そう言って笑ったコユリに、キリハはつい見取れてしまっていた。



「……私もね、キリハくんと一緒に行きたい」

「ッ!…俺、なんかで良いのか……?」

「キリハくんから言って来たんだよ?」

「そ、そうだったな……」



嫌われているとしか思っていなかったキリハにとって、コユリの返答は予想外のものだった。



「……コユリ、」

「うん?」

「済まなかった」

「謝るような事された覚えは無いよ?」

「……フッ、そうか。これからもサポート頼むぞ」

「うん!宜しくねっ!」

「ジェネラル!気を抜くな!」

「っごめん!ルーツァリモン、魔王の息吹(トルジェラメント)!」



レイクゾーンからの溝をやっと埋めた二人は、背中合わせでチームを動かして行く。戦場だと言うのに、その二人の表情は何処と無く嬉しそうだった。

そこにネネを救出したタイキとスパロウモンが戻り、シャウトモンX4はスパロウモンを加えたシャウトモンX5へとデジクロスした。

勢いづいた3チームは敵を畳み掛け、残すはダークナイトモンとリリスモンの二人だけとなった。



「もう勝ったつもりかね?」

「ダークナイトモン!弟は…ユウは何処にいるの?!ユウを返して!」

「ネネ、君はもう必要無い。私は既に、ダークネスローダーの復活に至る邪悪な力を手に入れたからね」



ダークナイトモンは取り出した悍(おぞ)ましい色の玉を掲げ、"強制デジクロス"をした。すると傍で倒れていたスカルグレイモンとスカルサタモンを取り込み、ダークナイトモンは姿を変えた。

更にダークナイトモンは、リリスモンを含む全員を消し去る為、強大な力をぶつけて来た。



「全員攻撃だ!」

「撃て!」

「全力で行って!」



全ての力を闇の力にぶつけて行き、そしてそれは上空で大爆発を起こした。



「ッ…コユリ!」

「きゃっ……!」



巻き起こる爆風から守るように、キリハはコユリの腕を引き、己の胸の中に閉じ込めた。

爆風が収まり、キリハは彼女を離す。



「……っ大丈夫か?」

「…う、うん。ありがとう、キリハくん」



元に戻った二人の雰囲気に気付き、ヒョウルモンが騒ぎ出したが、先程から薄々感づいていた他のメンバーがそれを止める。そんな事とは露知らず、コユリは一旦キリハの元を離れ、ネネへと駆け寄った。



「ネネちゃん、大丈夫だった?怪我は無い?」

「コユリっ……!わ、私は貴女に……!」

「私はネネちゃんに何もされてないよ?」

「ッ……!」

「ネネちゃんが元気そうで良かった」



何事もなかったかの様に微笑んだコユリに、ネネは言葉を失った。自分のされた事を分かっている筈なのに、それを咎め立てようとしなかったからだ。更にそんな相手を心配までするコユリの姿が、まるで聖母の様に見えた。



「――…コユリ、行くぞ」

「あっ、うん!クロスハートの皆、短い間だったけどありがとう!ネネちゃん、また会おうね!」



コユリは笑顔でそう言って、キリハと共に去って行った。その後ろ姿に、タイキは嬉しそうな表情を浮かべたのだった。





全てを許した





------(11/08/26)------
後はオリジナルを数本、ディスク・スイーツゾーン、タクティモンとの決戦、東京からDWへ……これで第一期は終わります(o´ω`o)

……最近は寝ずに書いているので隈がハンパなく酷いですorz 隠せるかな…コレ……。





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