光に導かれ、辿り着いたのは神殿の最奥にある祭壇の前だった。 そこには、このゾーンの守護神デッカードラモンと弱ったスティングモン、そしてトワイライトがいた。 「――…君はダークナイトモンに何か利用されてるんだろう?!」 「そうじゃないとネネちゃんがダークナイトモンと一緒にいる理由が分からないっ!」 タイキとコユリの訴えともとれる言葉を、ダークナイトモンは嘲笑った。 「良い直感だな工藤タイキ君、"白の君"。概ね正解と言っておこう。だとしたら…どうする?」 「彼女を苦しめるお前を許さない!」 「貴方を倒してネネちゃんを助ける!」 コユリに迷いは無かった。ネネと戦う、と言うよりダークナイトモンと戦うと言う意識の方が強いからだ。そして、ネネを苦しめるダークナイトモンだけは絶対に倒さなくては、そう心に決めてヒョウルモン達をデジクロスした。 だが、ダークナイトモンは計り知れない程強く、ソリフィアモンとシャウトモンX4が束になっても戦況は不利。 そこに追い付いたブルーフレアがダークナイトモンへ攻撃を仕掛ける。 「お前の言う通りだ、タイキ。やられっぱなしは俺の性に合わん」 「ヘヘッ、だろ?そう言うと思ったよ」 予想外のキリハの出現に、コユリの顔が綻(ほころ)んだ。しかし、ここが戦場である事を思い出し、すぐに顔を引き締める。 流石のダークナイトモンも三体を相手にするのは困難で、こちらが優勢だと誰もが思った。 しかし、 「……っクロスオープン」 ダークナイトモンから強制的に言わされたネネの言葉により、ダークナイトモンは分裂し、そして二体のデジモンへと姿を変えた。 「これが私の本来の姿、スカルナイトモン…!そしてコイツは相棒のデッドリーアックスモンだ」 「ダークナイトモンはデジクロスした姿だったのか……!」 「そんな……!」 スカルナイトモンとデッドリーアックスモンは更にデジクロスし、スカルナイトモンビッグアックスモードへと変貌した。 その力は凄まじく、一瞬にして三体がやられてしまい、正に打つ手無し、と言った状況だ。 その間にもネネは強制とも取れる誘いをデッカードラモンにしたが、拒否されてしまい、それを見兼ねたスカルナイトモンがネネにデジクロスするよう命令した。 それに従い、黒のXローダーを掲げた瞬間、タイキがそれを止めさせようとする。言い合いの末、ネネはそれを振り解いてスカルナイトモンの元へ行き、言われた通りデジクロスした。 「ネネッ!」 「ほっといてよ!関係ない、私はただユウと人間界に帰りたいだけなの!それを実現してくれるなら、相手が悪魔だっていい!」 「ッ…それは間違ってる!」 「っコユリ……!」 コユリは珍しく声を荒らげた。心から、ネネのやり方が間違った方法だと思ったからだ。彼女のその姿にネネも驚いている。 その時、横で話を聞いていたキリハが声を上げた。 「――…だったら強くなれ、ネネ。俺がそうなった様に……強さでしか悲しみは癒せないッ!」 「っ……!」 「俺達はブルーフレア。青く燃える炎を見せ付けてやる!」 キリハの言葉を合図に、メタルグレイモンがダークナイトモンへと突っ込んだ。 その時、キリハの"愛"に共鳴したデッカードラモンがブルーフレアに加入し、ダークナイトモンを攻撃する。 その光景を、リロードし、デジクロスしたルーツァリモンの上からコユリは見ていた。 「ジェネラル、良いのか?青のジェネラルの元へついてしまったぞ」 「んー…私はこれで良いと思うよ?キリハくんは愛で溢れてるし」 「……本当にそう思っているのか?」 「うん?」 笑って言った彼女だったが、ルーツァリモンはキリハよりコユリの方が"愛"があるのではないのかと若干納得のいかない様子だ。 「シャウトモンX4、バルカン砲だ!」 「ピュアグロウ、全力で撃って!」 「決めろ!ブルーフレア!」 3チームの全勢力をダークナイトモンにぶつけ、倒したかの様に思われた。 しかし、ダークナイトモンに傷一つ付いておらず、皆が愕然とした。 その姿にダークナイトモンは高笑い、思い付いた様にコユリに声をかけた。 「――…ああ、そうだ"白の君"。ネネを助けたいのならば、君がトワイライトのジェネラルになればいい。そうすれば、君の大事なネネはすぐに解放しよう」 「ッ!」 「っダークナイトモン、話が違うわ!!」 予想外の言葉に、コユリは下唇を噛み締めて俯(うつむ)いた。 このまま自分がネネの変わりになれば、ネネはもう苦しまずにすむのか、自問自答が繰り返される。だが、答えは最初から出ていた。 「さあどうする"白の君"」 「……"白の君"なんて呼ばないで」 「?」 吐き捨てる様に言い、彼女は視線を上げ、その紅の瞳でダークナイトモンを見据えた。 「私は……全てを糺(ただ)し導く光、ピュアグロウのジェネラル凛堂コユリ!"白の君"なんて呼ばないで!」 「コユリ……!」 「私は貴方を倒してネネちゃんを救う!」 「……残念だよ、君を闇に染めたかったのだがね」 そう言い残し、ダークナイトモンはXローダーへと戻った。 「コユリ!」 「キリハくん、」 「前より強くなったな」 「っ!…ありがとう」 キリハの言葉にコユリの表情は綻(ほころ)ぶ。 そうしている間にもネネはゲートを開き、ダストゾーンへと戻って行く。 「ネネッ!」 「ネネの事は俺に任せろ!」 「っ……!」 「キリハ!」 そう言ってネネを追ったキリハの姿に、コユリは何故か心が痛んだ。その理由は分からないが、また無意識にペンダントを握り締めていた。 息吐つ暇も無く、神殿から出てバグラ軍の残党を倒し、一同はドルルモンのログを辿ってダストゾーンに向かう。その最中、タイキが黒い影に攫われてしまった。 「愛」の定義 ------(11/08/24)------ 自分でも驚く程のハイペースで書いてます……。ただ私の力不足の所為でチーム内の会話が全く無いと言うね(´・ω・`) 「"白の君"って呼ばないで」のくだりは、似非貴族に啖呵を切るシーンを書きたかっただけです← |