バアルモンの元へと急ぐ中、地鳴りと共に宙に浮いていたピラミッドが一斉に動き、一箇所に集まりだした。 「何が起きてるの……?!」 「ジェネラル、中央にクロスハートがいるぞ」 「……皆ッ!」 リーツァモンの言った、中央のピラミッドを目を凝らして見ると、側面にタイキ達クロスハートが必死に掴まっているのが分かった。 「スピードを上げる、しっかり掴まっていろ」 「うん!」 言葉通り、スピードを上げてタイキ達の元へと向かう。空を切る音が耳元で煩く響く。 見る限りピラミッドの頂上に全員揃っているようで、横に寝かされた状態のバアルモンも一緒にいた。 リーツァモンはゆっくりと高度を下げていく。 「タイキくん、アカリちゃん、ゼンジロウくん!」 「コユリ!」 「コユリさん!無事だったんですね!」 「ご無事で何よりです!」 「皆も無事で良かった。ねえ、バアルモンに何が起きたの……!?」 「バアルモンを知ってるのか……!?」 「う、うん。さっきまで戦ってたから」 「!」 「それより、何が起こったのか聞かせて欲しいの……!」 タイキから一部始終を聞かされ、漸(ようや)く全てを把握したコユリ。そして、バアルモンを助ける方法をファラオモンから聞いたタイキが、女神の力をダウンロードする為にXローダーを掲げた。 ダウンロードが始まった最中、リリスモンがムゲンドラモンを召還し、ピラミッドを覆っていたバリアが破られ、バグラ軍の侵入を許してしまった。 ダウンロードが終わるまでタイキのXローダーは使えない。コユリはXローダーを片手に、前へと出た。 「コユリさん何を……?」 「戦えるの、私しかいないから」 アカリの問い掛けに振り返って答えたコユリは、またすぐに前を向き、ピュアグロウ全員をリロードした。 「ヒョウルモン、シキアモン、ラティスモン、ハクシンモン、デジクロス!」 眩(まばゆ)い光と共に、白騎士・ソリフィアモンが現れた。更に続けて言葉を紡ぐ。 「リーツァモン、コグルモン、デジクロス!」 初めての組み合わせで行うデジクロス。コユリ自身、どんなデジモンになるか見当もつかなかった。しかし、今はバアルモンを助ける為に時間を稼ぐしかない。 そして彼女の目の前にいたのは、一体の黒いドラゴンだった。 まるで漆黒の闇から生まれ落ちたような黒の躯と背に生える二組の双翼、そして全てを包み込む様な深緑の瞳に、視線を奪われた。 しかし、すぐにコユリはXローダーに視線を落とす。画面にはこの状況を打破する為の技名が書かれており、彼女はそれを声に出した。 「ルーツァリモン!魔王の息吹(トルジェラメント)!」 黒のドラゴン……ルーツァリモンの息一つで、敵であるスコピオモン達は忽(たちま)ち凍り付いた。 間髪入れずにソリフィアモンに指示を出す。 「ソリフィアモン、太刀で破壊して!」 彼女の命令通りに、ソリフィアモンは凍り付いたスコピオモン達を破壊していく。 「俺達も加勢するぞ!」 「コユリさんばっかりに戦わせる訳にはいかないからな!……よし、俺が指揮してやる!」 「ちょ、ちょっと!」 上にいたクロスハートも加わったが、敵の数が減ることはなかった。 そして、バリアとスコピオモンを喰らい、更に巨大になったムゲンドラモンが遂に動き出した。 「ソリフィアモン、神々の祈り(プリーチェノヴァ)!ルーツァリモン、最果ての光景(アンピオリンテ)!」 ダメージを与えたものの、ムゲンドラモンはまだ倒れない。 その時、上からタイキが戻り、クロスハートがシャウトモンX4K(ナイト)にデジクロスした。 「バーニングスタークラッシャァア!!」 「聖なる光線(ホワイトレイ)!」 「魔王の息吹(トルジェラメント)!」 3体の攻撃にムゲンドラモンは倒れたと思われたが、何事もなかったかの様にムゲンドラモンではなく、"ハイムゲンドラモン"がそこにいた。 圧倒的な力を持ったハイムゲンドラモンが、ソリフィアモン、ルーツァリモン、シャウトモンX4Kに襲い掛かり、3体は捕らえられてしまった。 「シャウトモンX4K!」 「ソリフィアモン!ルーツァリモン!」 絶対絶命のピンチにタイキとコユリは見ている事しか出来ず、無情にもムゲンキャノン砲が発射された。 爆発音が鳴り響き、爆風が巻き起こる。 しかし、予想外の光景が目に飛び込んで来た。 「……ッバアルモン!」 「バアルモン……?」 「……ッ!?」 ムゲンキャノン砲が発射される直前に、バアルモンが最後の力を振り絞り、ソリフィアモン達の前に飛び込んだのだ。 シャウトモンX4Kに抱えられたバアルモンの腕は力無く垂れ、タイキとコユリの声が辺りに虚しく響いた。 2発目のムゲンキャノン砲が発射される直前、息絶えた筈のバアルモンの銃がそれを止め、バアルモンがベルゼブモンとして転生した。 「ベルゼブモン……!」 「……良かったね、バアルモン」 ベルゼブモンの攻撃に続き、ソリフィアモン、ルーツァリモン、シャウトモンX4Kの渾身の力に、ハイムゲンドラモンは消滅した。 そして、サンドゾーンにも漸(ようや)く平和が戻った。 「皆、お疲れ様!」 「全く、骨が折れたぜ」 「流石に疲れたの」 「歳じゃない?」 「シキアモン、今何と申した?」 「おっと……、逃げるが勝ち!」 「ほら喧嘩しない!皆中でたっぷり休んでね」 彼女の声と共に、ピュアグロウはXローダーの中へと消えていった。 「コユリさん!」 「どうしたの?アカリちゃん」 「今日のコユリさん、凄く格好良かったです!」 「!……ありがとうっ」 戦いが終わり、緊張の糸が解けていたその時、突然現れたゲートに全員吸い込まれてしまった。 白騎士と黒い竜 ------(11/07/20)------ やっとリーツァモンのクロスが出せました……。ソリフィアモンとは真逆の黒にしたかったんですよね(´ω`) 純白の女騎士と漆黒のドラゴン、並べると画になるなーって思っただけなんですけど← 半ば無理矢理アニメ沿いにしたからか、今回はかなり雑になってしまった様に思えます……(・ω・`) 次はヘブンゾーン、どうするか……。 |