コユリが黙り込んで想いを馳せるのを、アカリは心配そうに見ていた。その時、シキアモンが思い出した様に珍しく声を上げた。 「あっ……」 「どうしたの?」 「リーツァモンがずっとコユリを待ってたんだ」 「え?」 「外にいるよ」 シキアモンは窓の外を指差し、コユリは窓から身を乗り出して外を見ると、微動だにしないリーツァモンがいた。 「ッ……!」 「昨日からずっとあそこにいるんだっキュー」 「暴れるヤツを止めるのは骨が折れたぜ」 「タイヘンダッタ」 キュートモン達の言葉に、コユリはあの時と同じ様にバルコニーから外に飛び出した。 「コユリさんまだ病み上がりなのに……!」 「ヒョウルモン、早く追い掛けんか」 「分かってるよ」 大丈夫だと思っていたが、ハクシンモンに言われては反抗出来ない為、ヒョウルモンは彼女を追い掛けた。 「リーツァモン!」 「……白の…ジェネラル、」 僅かながら息を切らし、白銀の髪を揺らして駆け寄るコユリに、リーツァモンは深く頭を下げて跪いた。 「良かった、元に戻ったんだね!」 「ジェネラルの御蔭で、こうして自我を取り戻す事が出来た。礼を言う」 「気にしないで。貴方の苦しそうな声が聞こえたから……。だから、助けなきゃって思って……」 ――…それだけで、得体の知れない奴を助けようとするのか……。 顔には出さないもののリーツァモンは内心驚いていた。 「おいコユリ!病み上がりの癖に走るな!」 「ご、ごめん……」 「…ヒョウルモン、貴様がバグラ軍を裏切った理由が分かった気がする」 「バグラ軍なんかより良いだろ?それで、これからどうするんだ?」 「奴らに復讐する」 呪縛が解けたリーツァモンの深緑の瞳には生気が戻っているが、今は憎悪の色を孕んでいる。 「復讐は絶対に駄目!」 「コユリ?」 「何故だ、ジェネラル」 「確かにバグラ軍がリーツァモンにした事は酷い事……。でも、復讐をした所で誰も幸せにはなれない……!」 必死に訴えるコユリ。まるで復讐者の末路を知っているかの様な、そんな口振りだった。 「それならば、我はどうすればいいのだ」 「正々堂々、バグラ軍と戦うの!」 「……」 「リーツァモン、お願い。復讐なんて悲しい事しないで」 コユリの悲痛な願いに、リーツァモンはゆっくり口を開いた。 「……分かった。真正面から戦い、奴らを討つ事を誓う」 「良かった、」 「その代わり……」 「?」 「拒まれようとも我はジェネラルに着いていくぞ」 「拒むなんて、そんな事しないよ!これから宜しくね、リーツァモン!」 嬉しそうなコユリの無邪気な笑顔に、リーツァモンは心が洗われた様な気がした。 「コユリがそう言うなら俺はそれに従う。シキアモン達も同じだと思うぜ」 「ありがとう、ヒョウルモン!それじゃあリーツァモンはXローダーの中でゆっくり休んでね」 そう言いながらコユリがXローダーをリーツァモンに翳(かざ)すと、リーツァモンはXローダーの中へと入って行った。 「これで一件落ちゃ……っ」 「ッ!おい、コユリ!」 眩暈か、将又(はたまた)貧血か、コユリがふらついた。それに気が付いたヒョウルモンが彼女の下に潜り込んだ為、コユリは盛大に転ばずに済んだ。 「っごめん……。ちょっと、気が抜けちゃって……」 「全く、気をつけろよ」 「コユリ!」 「あ、タイキくん」 コユリが倒れ込んだのを見たタイキ達が、慌てて駆け付けて来たのだ。 「大丈夫か!?」 「う、うん。平気だよ?」 「コユリさん、もう少し寝てた方が……」 「私は本当に大丈夫だから。心配しないで、アカリちゃん」 「……コユリ。俺達と一緒に来ないか?」 「えっ……?」 突然のタイキの誘いに、コユリは驚きと戸惑いを隠せなかった。 「コユリが、ほっとけないんだ」 「タイキくん……」 「いいんじゃない?クロスハートに同行しても」 「シキアモン……」 「妾(わらわ)も賛成じゃ。今のコユリの状態でバグラ軍と戦うにはちと不利じゃからの」 「……でも、他のクロスハートのメンバーは……?」 するとタイキは振り向き、クロスハートの面々に「皆、いいよな?」と問うと、全員が首を縦に振った。 「……暫くの間、宜しくお願いします」 クロスハートと同行する事を決めたコユリは、そう言って頭を下げた。 旅は道連れ ------(11/05/24)------ なんだか歯切れが悪い……。思ったんですけど、XWは映画になるんですかね?(・ω・) あれ?全シリーズ映画になりましたよ…ね…?← |