バグラ軍がまた攻めて来ていると知り、タイキ達は驚きを隠せないでいた。 「バグラが地下に放ったデジモンがエネルギーを発して、この巨大植物を異常繁殖させたんだ。もはや里の機能は停止、逃げ道も無い」 丁度その頃、里の別の場所ではマッドレオモンが現れていた。キリハが話す中、ハクシンモンはコユリの耳に寄り、マッドレオモンが来たことを伝える。 「っ嘘……、」 「本当じゃ、早く申した方が良いと思っての」 コユリがキリハに伝えようとしたが、タイキ達と会話をするキリハにそんな隙など無く。更に、赤いデジモン――シャウトモンが武器を構えて向かってきた。それに対しメイルバードラモンはシャウトモンを真っ向から跳ね飛ばす。 「っキリハくん!」 「心配するな、ただの戯れだ」 シャウトモンがやられた事により、他の仲間達までメイルバードラモンに向かって行くが、簡単に吹き飛ばされてしまう。コユリはキリハを止める事も出来ず、ただ唇を噛み締める事しか出来なかった。何か出来ないかと考え、今だに筍の上にいるゼンジロウを助けようと思い立ちクロスローダーを手に取る。 「リロード、コグロモン」 「コユリさんもジェネラルなの……?!」 「コグロモンズ、デジクロス」 アカリ達はコユリの持っているクロスローダーに、彼女もジェネラルなのかと驚いている。コユリはコグルモンに「仕事ばっかりでごめんね」と言って、ゼンジロウを助けるよう指示した。シャウトモン達を痛めつけていくメイルバードラモンを横目に、コグルモンはゼンジロウの元へと飛んだ。 「オイ、大丈夫カ?」 「く、来るな!来るなー!」 ゼンジロウは突然来たコグルモンをかなり警戒している様で、必死に手で追い払おうとしている。 「大丈夫だから落ち着いて!」 「無理だー!」 コユリの声も虚しく、筍にしがみつき涙目になりながら思い切り首を振るゼンジロウ。コグルモンはコユリを見て、これは無理だと言った表情で首を横に振った。それでもどうにかして助けようとしたコユリだったが、又してもキリハに止められてしまった。 「止めろコユリ。奴らは自力で助けるらしいからな」 「っ……。コグルモン、戻って」 助けられなかったからか、少し悔しげにコグルモンを呼び戻す。 「泣き付きたくなったら悲鳴を上げろ。せいぜい大きい声でな!」 「きゃっ……!」 キリハはタイキにそう言うと横に居たコユリを片腕で抱き寄せて、宙に浮くメイルバードラモンに飛び移り、里の外れへと飛んだ。その時タイキは思った。何も言わずにゼンジロウを助けようとした優しい子が、何故キリハの様な奴と一緒にいるのかと。 メイルバードラモンは里の外れの方に降り立つ。 「……」 「不満か?」 「確かにタイキくんは断ると思うって言ったけど、あんな誘い方じゃ断るに決まってるよ……。でも……、」 「でも…、何だ」 「キリハくんを「人助けをする人間に見えない」って言ったのはどうしても許せなくて……」 余程悔しかったのか、コユリは下を向いて下唇を噛み締めながらワンピースの裾を握りしめた。キリハは驚いた。確かに自分でも人助けをする様な人間で無い事位分かっている。だからこそタイキの発言を肯定したのだ。それでもコユリはキリハが優しい人間だと思っている。いや、キリハは実際彼女にだけは優しいのだが。 「優しいのね、コユリは」 「ネネちゃんっ……、」 「また君か、何の用だ」 コユリ達の背後に突如として現れたネネ。コユリは彼女の出現に驚いているがキリハはあまり関心を示さない。 「強い男の子を見るのが好きなの。それに……強い女の子もね」 「えっ……?」 そう言いながらネネはコユリを抱きしめた。キリハがネネを睨みつけるも、彼女はそれを鼻で笑うだけ。抱きしめられているコユリにはそれは分からない。 「っ……残念だが奴はまだ弱い」 「どうかしら」 ネネは一旦コユリを離したが、今度は腕を組んでコユリを独占している。キリハはその横でタイキ達の戦いを見ているのだが、横が気になって仕方がない様で。ネネのその行動に内心苛ついていた。 タイキ達はマッドレオモンファイナルモードを倒し、コードクラウンを手に入れた様だ。 「…タイキ君達が勝ったようね」 「やっぱり凄い、」 「それじゃあ私は行くから。またね、コユリ、キリハ君」 それだけ言うと、ネネはコユリから腕を離してタイキ達の元へ行ってしまった。 「俺達も次のゾーンに移動するぞ」 「うん」 コユリはキリハに手を引かれてメイルバードラモンに乗る。 「まさかタイキが切り抜けるとはな」 「彼の“センス”…なのかな……」 「やはり、奴が欲しい」 彼と彼女の懐柔思考。 ------(11/04/06)------ 新しくもう1体オリデジを追加したい……。でもそうするとまたデジクロス時を考えないといけないしな(・ω・`) 12/07/26:加筆修正済み |