バグラ軍が一時撤退した後、赤の少年達は“微笑みの里”に向かって行った。キリハはまだ周辺にいるであろうバグラ軍を倒すべく踵(きびす)を返す。


「行くぞ」

「あっ、ちょっと待って」


コユリはクロスローダーを取り出してヒョウルモンを戻し、コグロモンズをリロードした。


「コグロモンズ、デジクロス」


更にコグロモンズをデジクロスすると、三つ足の鴉の様な姿へと変わった。


「コグルモン、赤の男の子達の情報を集めてきて」

「了解」


漆黒の翼を羽撃(はばた)かせ、コグルモンは赤の少年達を追い掛けた。


「気になるのか?」

「気になるって言うか……お友達になれたらなって」


自分と同年代の子供がこのDWに来たという事が嬉しいようで、コユリの顔は綻(ほころ)んでいる。


「そうか……。ハクシンモン、バグラ軍は何処にいる」

「む、そうじゃの……」


いつも通りコユリの肩に乗っていたハクシンモンの第三の目が開眼し、ギョロリと様々な方向に眼球が動いて辺りを見渡す。


「此処から十時の方向と言った所かの」

「そうか。コユリ、行くぞ」

「うん」


キリハはグレイモンを戻してからメイルバードラモンの背に乗り、コユリに手を差し延べた。


「掴まれ」

「ありがとう」


コユリもその手を取ってメイルバードラモンに乗る。彼女が乗った事を確認してから、メイルバードラモンは十時の方向に飛び立った。コユリはデクリアモン戦の際に一度乗ったが、やはり上手くバランスが取れない様で今でもふらついている。それを見兼ねたキリハが彼女を抱き寄せた。


「キリハくん?」

「危なっかしくて見ていられないだけだ」


キリハにそう言われ、コユリは渇いた声で「アハハ」と笑うしかなかった。一方のキリハは自分で抱き寄せておきながら恥ずかしいのか、コユリから視線を逸(そ)らす。逸らした視線の先にバグラ軍のプテラノモンが飛び回り、陸にはトループモンとマンモンが動き回っていた。


「メイルバードラモン、一旦着陸だ」

「分かった」


少し離れた場所にメイルバードラモンは降り立ち、コユリとキリハも地に脚を付けた。キリハが先に降りたのだが、コユリが脚を滑らせて下に落ち、間一髪の所でキリハが受け止めた。


「な、何度もごめんね……」

「い、いや……。別に構わない」


不意を突かれたその出来事にキリハの拍動は早くなり、挙動不審になっている。それを見兼ねたメイルバードラモンがキリハに声をかけた。


「バグラ軍はいいのか」

「っ…そんな訳ないだろ」


その声によって現実に引き戻されたキリハはクロスローダーを取り出した。


「リロード、グレイモン」

「なら私も……」

「いや、俺達だけで十分だ」


コユリが出る幕でも無いと読んだキリハは、彼女の手を止めた。


「グレイモン、メイルバードラモン、デジクロス」


グレイモンとメイルバードラモンがデジクロスした姿であるメタルグレイモンは、ギガデストロイヤーでバグラ軍を容赦なく一掃していく。敵は反撃も出来ずに次々と倒れていった。


「殲滅完了」


周囲にいたバグラ軍はブルーフレアによって全て倒された。キリハの言葉と同時にデジクロスが宙で解かれる。キリハの後ろにグレイモンが落ち、コユリはグレイモンに声をかけた。


「お疲れ様、グレイモン」

「あれ位容易いものだ」


そう言いながらもグレイモンは褒美をくれとコユリに強請(ねだ)っている。その時、キリハが背後からの視線に気が付き、振り向いた。それにつられてコユリも振り向くと、少し離れた場所にネネが立っていた。


「ネネちゃん!」

「……」


コユリが笑顔で手を振るとネネも微笑んで手を振り返し、そのまま何処かへと行ってしまった。


「あっ……行っちゃった」

「そんな事より何かくれ」

「んー……デジノワならあるけど……」

「いいな!」

「……お前は戻ってろ」

「何故だキリハ!」


その問にキリハは答えず、クロスローダーをグレイモンに翳(かざ)して中に戻した。


「……またバグラ軍が雑兵を送り込んだようじゃ。此処からそう遠くない」

「そうか。行くぞ……!」




この世界に身投げして



------(11/04/05)------
タイトルが思い付かないorz キリハの口調が迷子(・ω・`) メイルとグレイモンの口調も分かんない← 切実に、誰か教えて欲しい(´Д`;)

12/07/26:加筆修正済み





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