「な、なんだ貴様達はッ……!」 次の瞬間、断末魔が響き渡る。コユリは目を逸らしながら顔を顰(しか)め、唇を噛み締めた。 コグロモンズが集めた情報とハクシンモンの千里眼を駆使し、コユリ達は古城に潜入した。現在はデクリアモンがいるとされる古城の最深部へと向かっている。 「白裂(ハクレツ)……!」 「雷火雨(サンダーレイン)ッ!」 シキアモンの白鴉(はくあ)から放たれた白い衝撃波が敵を粒子へと変えていき、その横のヒョウルモンが繰り出した雷は次々と敵を貫いていった。 「ハクシンモン!後どれ位だ?!」 「そう慌てるな、お前はもう少し大人しくしておれ。……ああ、そこは左じゃ」 「僕達は被害を最小限に抑える為に裏手から回ったのに。ヒョウルモン、少し黙ってて」 「久し振りに暴れられるんだ。大人しくなんか出来るかよッ……!」 ヒョウルモンは背後から襲ってきた敵に対し、尾の白蛇から毒液を吹き掛けた。毒液を浴びたデジモンは藻掻き苦しみながら倒れていく。それを見たコユリは声を荒らげる。 「ヒョウルモン!殺しちゃ駄目!」 「……分かったよ」 彼女にそう言われてシュンと耳が垂れ下がったヒョウルモン。その姿は飼い主に従順な犬のようだ。それでもヒョウルモンとシキアモンは敵を薙ぎ倒して進み、コユリも二人の背中を追い掛ける。ハクシンモンの言う通り廊下を左に曲がると、そこで待ち構えていたデジモンに先頭のヒョウルモンは目を見張った。 「っ!スカルグレイモンか…!」 全身の肉が落ち骨格だけの哀れな姿に変わったデジモン、スカルグレイモンがそこにいた。それに対しシキアモンは明白に嫌がる素振りを見せた。 「……面倒臭っ」 「アイツがいるなんて聞いてねえぞ」 「なんじゃ、まさかスカルグレイモンに勝てぬと申すか? ……嗚呼、御主等はその程度と言うことか」 ピクリと二人の眉尻が動いた。ハクシンモンの分かりやすい挑発にいとも容易く乗ってしまったヒョウルモンとシキアモン。 「おい、シキアモン。とっとと行くぜ」 「言われなくても分かってる」 その瞬間二人は一気にスカルグレイモンへと駆け出し、コンビ技とも言える技を繰り出した。 「白裂……!」 「蛇雷(レーペレボルト)!」 白の衝撃波に蛇行する雷を絡めたその技はスカルグレイモンを直撃し、一撃で倒した。スカルグレイモンは知性や意思等は無く闘争本能しかないデジモンだが、どうやら二人の闘争本能には劣る様だ。 「これで一先ず……っコユリ!!」 「えっ?」 ヒョウルモンの叫び声とも取れる声にコユリが振り返ると、そこには攻撃体勢のもう一体のスカルグレイモンが。突然の事に動けずにいたコユリの視界を白と琥珀色が多い尽くした。 「ラティスモンッ!」 ラティスモンは背中の羽根を羽撃(はばた)かせながら一瞬にしてスカルグレイモンの前に立った。スカルグレイモンは標的をコユリからラティスモンに移して攻撃を仕掛ける。それに対しラティスモンは何をするわけでもなく長い前髪を掻き上げた。すると、まるで中から破裂でもするかの様にスカルグレイモンは粒子となり消えていった。長く綺麗な髪を靡かせながら振り向いたラティスモンの瞳はやはり前髪に隠れて見ることが出来ない。 「主(あるじ)、お怪我はありませんか?」 「だ、大丈夫……。ラティスモン、今何をしたの……?」 一瞬の出来事に困惑するコユリの問いに、ラティスモンはいつものようにただ微笑むだけ。そんなラティスモンの代わりにヒョウルモンが口を開いた。 「あの噂は本当なんだな」 「噂……?」 「ラティスモンの目を直に見ると死ぬ、ってな」 「…それ本当なの?」 「さあ?どうでしょうね」 それでも口元に手を当てて謎めいた笑みを浮かべるラティスモンに対し、元々彼女がチームに入ることを余り喜ばしく思っていないヒョウルモンは気に食わないと言わんばかりの表情を見せた。 「そんな事時間の無駄だから先に行っていい?」 「デクリアモンまで後少しじゃぞ」 「ラティスモンは後だ。……行くぞ」 「リーダー振らないでよ」 「主、後ろは私にお任せ下さい」 「ありがとう、ラティスモン」 ヒョウルモンはまた先頭に立ち、一気に廊下を駆け抜けて行く。シキアモンもその後に続き、コユリも二人を追い掛けた。 鳴り響くのは警告音か ------(11/03/07)------ ちゃんと書けてないですけど、ヒョウルモンはあんまりラティスモンを信用してないです、ハイ← 多分次辺りにキリハが出ると思います(・ω・´) 12/07/23:加筆修正済み |