見渡す限り銀世界が広がるホワイトゾーンにコユリ達は降り立った。

一つ前のゾーンでバグラ軍を完膚(かんぷ)なきまでに叩き潰したキリハ。一方のコユリは無駄な殺生はしない主義なのでキリハのサポートに回っていた。ヒョウルモンとシキアモンは不満げにぼやいていたが聞き流すだけ。

キリハがそのゾーンのコードクラウンを手に入れ、このホワイトゾーンへとやって来たのだ。コユリがコグロモンズをリロードした途端、全員が一斉にパタパタとあらゆる方角へと飛んで行った。


「行ってらっしゃい!気をつけてね!」

「キヲツケル!キヲツケル!」


偵察に行ったコグロモンズに手を振るコユリ。彼女の肩に乗っているハクシンモンが辺りをキョロキョロと見回し、口を開いた。


「……バグラ軍が半分以上を侵略している様じゃ。コードクラウンは入手出来てないらしいがの」

「本当?」

「妾(わらわ)の“目”に間違いは無い」


ハクシンモンがそこまで言い切れるのには訳がある。それは額にある目の力だ。第三の目には「千里眼」が備わっており、それによってゾーンを見ているのだ。しかし「千里眼」にも限界があり、その限界をカバーするのがコグロモンズだ。一仕事終えたハクシンモンは寒いからと言う理由でクロスローダーへと戻ってしまった。


「俺達も探すぞ」

「う、うんっ」


白銀の中を歩き始めた二人。キリハはコユリを労(いたわ)り、いつもよりペースを落として歩く。雪に脚を取られながらも必死にキリハの後を追うコユリだったが、案の定豪快に雪にダイブした。


「っ…冷たい……」

「もう少し足元を見て歩いたらどうだ?」


キリハはコユリの腕を掴んで立ち上がらせると、強い口調とは裏腹に頭や肩に付いた雪を優しく払った。


「ありがとうキリハく……っ…くしゅっ」

「寒いか?」

「これくらい大丈……くしゅっ」


くしゃみが止まらないコユリに、キリハは自身のジャケットを脱いで彼女の肩にかけた。


「着てろ」

「え、でもキリハくんが……」

「問題無い」


短くそれだけ言って外方(そっぽ)向くキリハに、コユリは礼を言って彼のジャケットに袖を通す。しかしコユリには大き過ぎた。それは単に彼女が小柄なだけなのだが一目見て分かる程サイズが違う。


「キリハくんのジャケット大きいね」

「コユリが小さいだけだ。……まだ寒いか?」

「キリハくんのお陰で凄く暖かいよ。ありがとうっ」


柔らかく微笑むコユリに、キリハはまたしても外方向いて一人歩き始めた。


「わっ、待ってよキリハくん!」


しかし彼女は気付いていなかった。彼の耳が赤く染まっていた事に。




無愛想で不器用なキミ



------(11/01/30)------
ちょっと不完全燃焼(・ω・`) アニメでのキリハの立ち位置が分からなくなってきた← 軍の名前は、キリハが蒼い炎ならコユリは白い光かなーっと安易に考えます(笑) コユリ自身は白でも、ヒョウルモン達は結構黒かったりするんですよね←

12/07/22:加筆修正済み





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