一番最初に動いたのは、ハクシンモンが超進化したハクビモンだ。花魁のように艶やかな着物に身を包んでおり、ゆっくりと一歩ずつ前に出る度にコユリとはまた少し違う白髪が揺れる。そしてチョ・ハッカイモンなど敵ではないと言わんばかりに余裕で煙管を燻(くゆ)らせている。それが癪(しゃく)に障ったアイルは声を荒らげた。


「チョ・ハッカイモン!」

「はっはいッス!…あたちの愛で串刺しよ!」


チョ・ハッカイモンはハクビモンへと距離を詰め、炉傑塔釘(ロケットテイハ)を振り翳(かざ)した。


「ハクビモン!」

「……ふぅーっ、“シエンノオリ”」


ハクビモンがゆっくりと紫煙を吐き出し呟くように言った瞬間、煙が意思を持ったように動きチョ・ハッカイモンを捕らえた。ただの煙のようだがびくともせず、アイルとチョ・ハッカイモンは慌てている。


「…チョ・ハッカイモン、お主は罪を犯した。当然償ってもらわねばのぅ」

「ヒッ!あ、あたちはっ……!」


ハクビモンが笑みを浮かべると、持っていた提灯がまるで口のように裂け、ケタケタと笑い出した。


「…骨の髄まで燃やしてやるぞい」


その言葉と共に身動きの取れないチョ・ハッカイモンの足元から勢いよく火柱が立ち上り、一瞬にしてその身体を呑み込んだ。そして火柱が治まると、丸焦げになり戦意喪失したチョ・ハッカイモンが倒れていた。アイルは泣きそうな顔をしながらチョ・ハッカイモンをクロスローダーに戻す。


「はっハクビモン!やり過ぎだよ……!」

「…ふむ、ちとやり過ぎたかの。…じゃが、コユリに武器を向けた罰じゃ」


ハクビモンは振り返って妖艶な笑みを浮かべた。

ハクビモンとチョ・ハッカイモンが戦っていた一方で、シキアモンが超進化したシシンモンとヤシャモンが空中戦を繰り広げていた。


「シャアァアッ!」

「しつこいヤツ……!」


シシンモンの太刀とヤシャモンの木刀が激しくぶつかり合う。だがシシンモンは珍しく受け身に入っている。その間に決着を付けようとしたヤシャモンが両手の木刀を振り翳(かざ)した。


「一刀両断ッ!」

「……隙だらけだよ」


これまでとは打って変わりシシンモンはクスリと嘲笑を口許に浮かべ、ヤシャモンの技を軽々と避けて太刀をヤシャモンに叩き込んだ。それによりヤシャモンは落下しその身体は地面に叩き付けられた。シシンモンはふわりとハクビモンの横に立つ。


「アイツ弱すぎ、もっと強いと思ったのに」

「そう申すなシシンモン」

「でもさぁー、」


ハクビモンとシシンモンが言葉を交わしている中、ヒョウルモンが超進化したオーディルモンとアスタモンは互いに武器を構えたまま睨み合っていた。そして一瞬吹いた風を合図に目の前の敵へと一気に向かう。そして目にも止まらぬ速さの攻防戦。互いに背中を向けたまま一瞬の間、そして倒れたのはアスタモンだった。


「おい、銀髪のガキ。コイツ、早くクロスローダーに戻さないとデータごと消滅するぜ」

「ッ……!」


オーディルモンの言葉にリョウマはすぐさまアスタモンをクロスローダーに戻した。リョウマら三人は、自慢のデジモンがこれ程まで呆気なくやられ呆然と立ち尽くしている。それは離れて戦いを見ていたタギルにも同じことが言え、タイキとユウ、そしてコユリは以前よりも力を増している面々に驚いた表情を浮かべた。


「俺達と張り合おうなんざ百年早ぇーよ」


そう言い放ったオーディルモン。両傍のシシンモンとハクビモンは不敵な笑みを浮かべていた。




磨き抜いた刃を振るう



------(12/08/30)------
私に戦闘シーンは無理でしたorz メインはヒョウルモン達なのでコユリ空気とか言わないで下(( 次回は…どうしましょうか← オーディルモン達の設定を追加しました。





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