「っ……ヒョウルモン!」


コユリは持っていた鳥籠を一度置いてから、目の前のヒョウルモンに抱き着いた。彼女からすれば一年振り、ヒョウルモン達からすればそれ以上の年月の末にやっと再会出来、感動も一入(ひとしお)だ。


「…ずっと逢いたかったっ……!」

「泣かないでよ、コユリ」

「なっ、泣いたりなんか……!」

「そうじゃぞコユリ。泣くのはあの者達を追い払ってからじゃ」


そう言ってハクシンモン達が見据える先にはリョウマ達が。帽子の少年と金髪の少女はヒョウルモン達を見て何やら興奮している。


「うわっ…!超激レア揃いじゃん!なんであんなのばっかり持ってるんだよ……!」

「あの着物と白い狐のコ超グッド!ドレスのコも良いわね!」

「おいアイル。アイツら全部俺の獲物だ、邪魔するなよな」

「ちょっと何言ってんのよレン。あの三体は私の獲物だってば!」


アイル、レンと呼びあった二人はどちらが奪うか口論しているが、リョウマの制止に落ち着きをみせた。


「取り合えず、奪ってから考えればいいんじゃないか?」

「…それもそうだな」

「仕方無いわね、チョ・ハッカイモン!」


完全にコユリと戦う姿勢を見せた三人。リョウマとレンはそれぞれクロスローダーを取り出しパートナーをリロードした。


「サイケモン、超進化……!」

「ドラクモン、超進化!」


三人にはそれぞれアスタモン、ヤシャモン、チョ・ハッカイモンを出した。三対一は卑怯だと、今度こそタギルが出て行こうとしたが、今度はヒョウルモンに制止されてしまった。


「おい、そこのアホ面」

「なっ何ぃい!誰がアホ面だ!」

「お前だ、お前。これは俺達の戦いだ、邪魔すんじゃねーよ」

「っ……!」


ヒョウルモンの紅の瞳に一睨みされたタギルは思わず声を詰まらせた。だがタイキとユウは「変わってない」と笑っている。


「でっ、でもホントにいいんスか!?タイキさん!」

「ああ、じゃないと俺達が巻き添いを食らうからな」

「そうそう、コユリさん以外全員好戦的だからね」


タイキとユウは懐かしそうな瞳をコユリ達に向けたが、タギルはまだ信じられないようだ。


「僕、ヤシャモンとやりたい」

「妾(わらわ)はチョ・ハッカイモンかのぉ」

「ならアスタモンは俺がやる」


そう言ったヒョウルモンとシキアモン、ハクシンモンが一歩前に出た。するとラティスモン達は残念そうにコユリのクロスローダーへと入った。


「…私は戦いたくない、だけど…。デジモンを物みたいに扱ったり、人のデジモンを奪おうとするのは許せない……!」


コユリは白いクロスローダーをぎゅっと握り締めながら立ち上がった。


「コユリ、単体での超進化、今なら出来るんじゃねーか?」

「……うん、頑張ってみる!」


ハンターであるリョウマ達からしたら、同時に三体のデジモンを出していることに少なからず驚きを見せている。だがそんなのお構い無しにコユリは初めて単体での超進化を試みる。


「ヒョウルモン、シキアモン、ハクシンモン!…超進化!」


一瞬の眩い光に包まれたと思ったら、ヒョウルモン達は姿を変えた。単体での超進化に成功したのだ。だがこれに異議を唱えたのはアイルだ。


「ちょっと!どうしてあんただけデジモンを三体もリロード出来んのよ!しかも超進化までして!」

「…どうしてって言われても……」

「彼女はこのゲームに参加しないと言った」

「「……ッ!」」


突然ビルの上に現れた時計屋のおやじとクロックモン。一度全員の視線がそちらに向く。


「だから……、」

「ハンター(我々)のルールは意味が無いと言うことですか」

「その通り」


ハントに参加しない、つまりハンターにはならないと断言したコユリにはハンター達のルールなど関係の無いことだ。アイルとレンはずるいと騒いでいるが、リョウマだけは何故か嬉しそうに不敵な笑みを浮かべた。


「…流石コユリさんだ……。さあ、お手合わせ願いましょうか……!」




反撃の狼煙を上げろ!



------(12/08/23)------
三期制作発表の時から頭を悩ませてきた単体での超進化← 未だにリーツァモンだけ何も決まっていません(笑) ドラクモンは人間の欲望が無くとも超進化出来る、みたいなことを言っていたので無条件での超進化です(( 超進化の設定は次回更新時に追加します。





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