グレイモンDXで敵を倒していた最中、ダークネスバグラモンが己の兵隊ごと攻撃を仕掛けた。



「なんだ…!バグラモンの奴、自分の兵隊ごと!?」

「酷いっ……!」

「ふざけやがって!」



その攻撃が止む事は無く、青い炎が全てを飲み込んで行き、デジモン達の断末魔が響き渡る。キリハがリスターでネネに呼び掛けるが、返事をしたのはゼンジロウだった。

ネネとジェットメルヴァモンは敵に囲まれており、グレイモンDXですぐさま駆け付け、二人を助ける。

それによってグレイモンDXが青い炎に飲み込まれそうになったが、モニモンとジェットメルヴァモンの力でそれを免れた。

そこに傷だらけになりながらも炎から逃れたドルルモンが合流した。



「――…一見火に見えるが、恐ろしく強力なデータ消滅パワーだ」

「ッ……!」



その力はバグラ軍の兵士達を飲み込みながら渦を巻き始めていた。

そんな時、厚く覆われていた雲の隙間から目映い光が差し、消えた仲間達が次々と一同の前に姿を現した。



「また会えたのうキリハ!」

「デッカードラモンッ!」



蘇らせる事が出来たデッカードラモンとの再会に、キリハの瞳には涙が浮かぶ。その光景に、コユリは嬉しそうに静かに微笑んだ。



「タイキがコードクラウンを手にしたんだな!」

「みなの衆!反撃じゃ!」



デッカードラモンの掛け声と共に、全員が持てる力の全てを出して渦を巻く炎へと攻撃する。そして、それを打ち破る事に成功。

ダークネスバグラモンから一筋の閃光が走り、蘇ったシャウトモンとベルゼブモンと共にタイキ達が無事に戻って来た。

取り戻したコードクラウンがタイキのXローダーへと入って行く。



「皆!終わらせよう、この戦いを!コードクラウンが教えてくれたデジクロスで!」



一同の頭上には、赤と青、そして白に分かれた三色の軍旗がはためく。そしてタイキの持つデジメモリ全てが実体化した。



「行くぞ皆ッ!」



その声と共にジェネラルがXローダーを掲げ、アカリとゼンジロウは拳を上げた。



「「ファイナルクロスッ!」」




シャウトモンを軸とし、全員のデータが集まって行く。更に上空がDWと繋がり、沢山のデジモン達がシャウトモンへと降り注ぐ。



「――…オレは!未来の!デジモンキングだァアッ!」

「「ファイナルクロスッ!」」

「シャウトモンX7Superior Mode(スペリオルモード)ッ!」



全てのデジモン達の力を借りて姿を変えたシャウトモンX7。人間界の膨大なデータを喰らったダークネスバグラモンは更に力を増し、シャウトモンX7と対峙する。



「決めるぜ!ファイナルクロスブレードッ!」



たった一撃だった。剣はダークネスバグラモンを貫き、光の粒子となっていく。



「我が理想と…信念……」

「…バグラモン。またお前が間違ったら止めてやるよ。いつかきっと、オレの国で会おうな」



そして静かに消え去ったダークネスバグラモン。

その瞬間、タイキ達の歓声が響き渡った。空は蒼く晴れ渡り、力を貸してくれたデジモン達はDWへと帰って行く。



「…もう、会えなくなるなんて……。そんなのっ……」

「DWを平和にするって言うお前の夢が叶ったんだ、そんな顔すんな」

「全く、最後位は泣かないでよ」

「主(あるじ)は笑っていて下さい」

「でも……!」



ヒョウルモン達との別れが辛いと、コユリは今にも泣きそうだ。ラティスモンはコユリを抱き締めて優しく頭を撫でる。

そんな彼女達の元に、いつの間にか大きな姿に戻っていたハクシンモンが近寄った。



「コユリ」

「っ…ハクシ……あれ?」



コユリは首を傾げた。ハクシンモンの尻尾は四本から七本に増え、首回りの数珠には一つ一文字ずつ文字が浮かび上がっている。そして何より、纏う空気が今までとは違う事に気が付いた。



「これが妾(わらわ)の本来の姿じゃ」

「えっ?」

「昔、一瞬の隙を突かれバグラモンに力の殆どを奪われてしまっていてのう。奴は僅かながらダークナイトモンと三元士にも妾の力を分け与えていたのじゃ」

「!……あ、だから私とヒョウルモンがDWに戻った時にタクティモンが倒された事を知ってたんだ」

「そう言う事じゃな。バグラモンが倒された今、全ての力が妾の元に戻って来た。礼を申すぞ、コユリ」

「……ジェネラル、残念だがもう時間のようだ」

「ジカン!ジカン!」



リーツァモンにそう言われ、ヒョウルモン達は名残惜しそうにシャウトモン達の元へ向かう。ハクシンモンは別れ際、コユリにだけ聞こえるように小声で言った。



「悲しむ事は無い。またすぐに出逢える未来が待っておる」

「…すぐに、出逢える……?」

「今の妾には"全て"が"視えている"からのう」



最後まで意味深い言葉を残して行ったハクシンモン。

シャウトモン達はコードクラウンと共にDWへと帰って行く。

コユリは必死で涙を堪え、無理に笑顔を作って手を振った。彼女のその様子に、ヒョウルモン達は最後まで呆れたように笑ったままだった。


――…戦いは終わった。世界に平和が訪れ、俺達の暑い夏は終わった。





栄光はこの手の中に





------(12/03/04)------
う、うわぁああんっ!((蹴 アニメを観て大号泣しながら後半書いてました←

最後は台詞で締めるのもアレだったので、タイキの一人語り(前半部分)で終わらせてみました(´ω`)

ハクシンモンは意外と呆気ない過去でしたが←詳しくは番外編で!(笑)

そして次回からはコユリとキリハ、妄想と捏造のターン!((





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