シャウトモンX7はダークナイトモンの攻撃を真正面から受け止め、力の落ちた一瞬の隙に攻撃を仕掛ける。その攻撃で怯んだダークナイトモンはどう言う訳かその場に座り込み、黙り込んでしまった。



「何が起きたの……?」

「何だ?止まっちまったぞ。ダークナイトモンはどうした?」

「……死んだよ、彼は」



聞こえてきたのはダークナイトモンではなくバグラモンの声。そしてダークナイトモンは一気にその姿を変えて行く。



「これぞダークネスバグラモン。その真の姿よ」



取り込んだ側のダークナイトモンが、逆にバグラモンによって飲み込まれてしまったのだ。



「――…奴には真の王者たる資質が無かった」

「ふざけんなよ……テメェにはそれがあるってのか!」

「無論だ、私には理想と信念がある。人間界とDWの統合と言う理想、それを遂行する為の強い信念が」

「させるかそんな事ッ!」



シャウトモンX7がダークネスバグラモンへと立ち向かうが、右手だけでいとも簡単にあしらわれてしまい、デジクロスも解けてしまった。皆が傷付きXローダーへ戻って行く中、シャウトモンだけは立ち上がる。



「――…安心しな、デジモンのキングにはオレがなってやる!」



そう言ってシャウトモンは単身でダークネスバグラモンへと挑むが、簡単に弾き飛ばされてしまう。タイキがシャウトモンの名を呼びながら彼の元へと駆けて行く。



「――…ダークストーンを潰すんだったよな。後は頼んだぜ……じゃあ、待たな!」

「ッ……!」

「シャウトモンっ……!」



シャウトモンはダークストーンを破壊する為にダークネスバグラモンへと飛び込むが、光の粒子となって消えてしまった。タイキの声だけ虚しく響き渡る。



「おのれ…許さんぞ!ダークネスバグラモンッ!」

「怒りを燃やしたところでどうにもならん。さあ、人間界に降臨しよう」



ダークネスバグラモンは漆黒の翼を羽搏(はばた)かせて飛び上がる。それによって起きた強烈な向かい風で目も開けられない。



「君達は消えたまえ。DWでも、人間界でも無い、永遠の次元の狭間に。私がこれから生み出す新しい世界を、諸君が見ることはない!…エターナルダークメアッ!」



その技に触れた途端、タイキ達はこの場から消えた。ダークネスバグラモンの言った、次元の狭間に飛ばされてしまったのだ。

そしてコユリもまた、たった一人で暗闇の中を浮遊していた。

――…私……ああ、ダークネスバグラモンに飛ばされたんだ……。…誰の声も聞こえない……また、一人になっちゃうのかな……。

そんな考えが頭の隅でぼんやりと浮かび、悲しさの余り泣き出しそうになってしまった。

その時、突如二本の手が現れ、コユリの手首を掴んで彼女を引き上げた。



「っ……!」

「私達がいる事を忘れないで下さいよ!」

「そうですとも!ああ、麗しのコユリさん!今日もお美しい!」

「こんな時に何言ってんのよ!」



聞き覚えのある二人の声。ゆっくりと目蓋を上げると、眩しい程の光が飛び込んで来たのと同時に、アカリとゼンジロウの姿が紅の瞳に映った。



「…アカリちゃん、ゼンジロウくんっ……!」



コユリは感極まって思い切り二人に抱き着いた。アカリは素直に腕を背に回したが、ゼンジロウは突然の事にどうしていいか分からず慌てている。

そして先に二人に引き上げられていたキリハがコユリの頭をくしゃくしゃと撫でた。



「キリハくん……!」

「お前を待ってる奴はここにもいただろ?」

「うんっ!」



嬉しそうに笑顔で答えたコユリは、アカリとゼンジロウからゆっくりと離れる。

その後も立て続けにネネとユウを次元の狭間から救い出し、最後にタイキを引き上げた。



「――…でも、シャウトモンが……」

「タイキさん……」

「ネネさん達から聞いたよ……。でもな、まだ望みはある!シャウトモンを助けて、人間界を救う手が残されてるんだ!」

「え…?ど、どうやって?」

「それは我々から説明する」



その声と共に、アカリとゼンジロウが持っていたデジメモリからエグザモンとウォーグレイモンが現れた。



「――…さあ、奇跡を呼ぶ少年達よ。君達に最後の希望を託そう」





奇跡をも味方につけて





------(12/03/03)------
後二話でダークネスバグラモンと決着がつきますが……嬉しいような悲しいような(´・ω・`)

次回、最初で最後…かもしれないダブルクロスを行います。誰と誰のダブルクロスかって?まあ、それはお楽しみと言う事で((蹴





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