デクリアモンからコユリを救い出したタイキ達は、休む間も無くバグラ軍本拠地、大魔殿へとやって来た。



「あれがバグラ軍の本拠地、大魔殿か」

「そしてあの中にバグラモンが……!」

「私達、とうとうここまで来たんだ……」

「いよいよね」

「ああ…!バグラモンさえ打ちのめせば、DWは生まれ変わる事が出来る!」



シャウトモンの言う通り、バグラモンを倒して奪われたコードクラウンを取り戻せばDWは生まれ変わる事が出来るのだ。そして希望を託して消えていった仲間達も蘇る。

その事を一人ひとりが胸に刻み、大魔殿へと歩き出した。デクリアモンの時と同じように周囲は不気味な程静かで、また何かあるのではないかと疑ってかかる。

そして何事も無く入り口についてしまい罠である事を覚ったが、タイキの言葉に従って先へと進む。誰も言葉を交わすこと無く正門へと辿り着いた。

すると正門がゆっくり開き、奥からバグラ軍皇帝バグラモンが現れた。敵の大将が現れるとは誰も考えておらず、一同に衝撃が走った。



「ようこそ、ジェネラルの諸君。たったそれだけの戦力で良くここまでやって来た。誉めてやろう」

「テメェ……!オレと勝負しろッ!」



不敵に笑みを浮かべるバグラモンの姿に、奇妙な違和感を覚えたネネとヒョウルモンは眉間に皺を寄せた。

――…違う…何か…この気配は……。

――…コイツ…まさか……ッ!?

次の瞬間、高笑うバグラモンが砂となり崩れ落ちた。同じように大魔殿だと思っていたモノも砂となり崩れ、強烈に吹き荒れる砂塵が容赦無く襲い掛かって来る。



「っ……!」

「コユリッ……!」



キリハは咄嗟(とっさ)に横にいたコユリの身体を抱き竦(すく)めた。少しでも彼女の盾になろうとしたのだ。

漸(ようや)く砂塵が治まった時、目の前にはダークナイトモンの姿があった。



「――…テメェ!何のマネだッ!」

「お気に召さなかったかな?ただのゲームだよ、ユウの大好きな」

「っ!ユウをどこへやったの?!ユウを返して!」



するとダークナイトモンは、すぐにでもユウに会わせてやると言ってきた。呑める筈の無い条件を突き付けて。



「工藤タイキを含む君達全員が、私の前に跪(ひざまず)けばね」

「何ィ!」

「降参して私の部下になれば、全ては解決すると言っているんだよ」



その言葉にタイキはダークナイトモンを指差して声を荒らげる。



「――…俺達は、お前のような悪党には決して屈しない!」

「おうよ!それがクロスハートだ!」

「そして俺達は皆、熱い絆で結ばれている!」



ダークナイトモンにとってはこの返答は想定内のものであり、笑い声からは余裕が窺(うかが)える。

そしてコードクラウンが負のエネルギーによって闇の力を持つダークストーンへ変わった事を告げた。ダークナイトモンの手元ではそのダークストーンが鈍く輝いている。



「来るべき破壊の日、D5の為に作ったダークストーン。その力の一部をお見せしよう……復活せよ、デスジェネラルの諸君!」



その瞬間、ダークストーンの力によってダークナイトモンの足元に紋章のようなモノが浮かび上がった。



「――…いでよ!デスジェネラル達よ!」



ダークナイトモンの背後にはドルビックモンを始めとする、これまで倒したデスジェネラルが全員蘇ってしまった。

これはダークストーンが起こす奇跡だとダークナイトモンは言い、コユリはこの事とデクリアモンを結び付けた。



「じゃあデクリアモンはこの為の……」

「その通り、実験台と言う訳さ。実験は成功。良い働きをしてくれたよ彼は」

「っ……!」



ダークナイトモンの命令によってデスジェネラル達が襲い掛かって来た。

タイキ達が必死でオレーグモンとアポロモンに呼び掛けるが反応は無く、それ以前に二人の瞳には光が無い。



「――…無駄だ。彼等には心が無いのだからな」

「ッ?!心が無いだって……?」



ダークナイトモンはデスジェネラル達を復活させる際、強制的に心を奪っていたのだ。

全く罪の意識を持っていないダークナイトモンを倒すべく、コユリ達はXローダーを合わせてグレートクロスをした。

シャウトモンX7はデスジェネラル全員の技を軽々と弾き返す。だがダークナイトモンはデスジェネラルをデジクロスさせ、グランドジェネラモンが一同の前に立ち塞がる。



「全てのデスジェネラルが一つになった!」

「そんなっ……!」

「なんて大きさなの……!?」



襲い掛かって来るグランドジェネラモンに挑むシャウトモンX7だったが、圧倒的な力によって捩(ね)じ伏せられ、デジクロスが解けてしまった。コユリ達はすぐさま駆け寄る。



「「皆っ!」」

「大丈夫か?!」

「しっかりしてっ!」



傷によって動けないシャウトモン目掛け、ダークナイトモンはダークストーンから眩い光を放った。コユリ達が困惑する中、その光が消えた時にはシャウトモンは反応を示さなくなってしまった。

タイキはダークナイトモンを睨み付けて声を荒らげる。



「お前!シャウトモンに何をしたッ!」





蘇る絶望





------(12/02/28)------
いつにも増してカタカナが多い……(・ω・`) これからはコユリやピュアグロウの台詞が半端なく少なくなると思います(汗)





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