アポロモンとベルゼブモンの死を乗り越えてやって来たのは思いも寄らぬ場所だった。

枯れた大地が広がり、まるでブライトランドの様な場所。分厚い雲に覆われ、月明かりが地上に届く事は無い。そして黒い六角柱状のクリスタルが地面の至る所から生えている。



「何処なんだ、ここ…?」

「…大魔殿…じゃないわよね?」

「ヒョウルモン、ここは一体……」

「確実に言えるのは、ここは大魔殿じゃねェって事だ」

「ッ…どう言う事だ」



「俺だって聞きてーよ」と、ヒョウルモンは答えながらドルルモンに視線を飛ばす。ここが大魔殿では無い事を分かっているドルルモンは頷いた。



「タイキ、ヒョウルモンの言う通りだ。ここはバグラ軍の本拠地でも何でもない」



一同の間には衝撃が走ったと同時に、困惑の色を隠せないでいる。



「バグラ軍の本拠地でないとすれば……」

「ここが第八の国だって言うの……?」

「でも、国は全部で七つでしょ?第八の国なんてアポロモンも話してなかった訳だし……」

「だが実際、俺達はこの場所に飛ばされた」



そして沈黙が流れる。話に上がる事のなかった未知の場所。一体ここが何処なのかと全員は思考を巡らせる。すると空を見上げたシャウトモンが声を上げた。



「なぁ、あのフラッグ可笑しくねェか?」



その言葉に全員が顔を上げると、そこには黒地にバグラ軍のエンブレムが描かれている軍旗が靡(なび)いていた。これまでの国に掲げられていたものが白地だった為、シャウトモンは違和感を覚えたのだ。



「…あ、後ろが黒に変わってるね」

「ココダケ、イロガチガウ」

「この国が他とは違うって事なのか?」

「その可能性は充分あるな」

「ねえ、さっきから気になっていたんだけど、デジモンの気配が全く無いと思わない?」



口々に話すが考えるだけでは埒(らち)が明かないと、情報収集の為にコユリはコグロモンズを、ネネはモニタモンズをリロードした。



「リロード、コグロモンズ!…デジクロスっ!」

「リロード、モニタモンズ!デジクロス!」

「コグルモン、慎重にね?」

「了解シタ」

「頼んだわよ、ハイビジョンモニタモン」

「はっ、お任せを!」



コグルモンは一気に飛び立ち、ハイビジョンモニタモンも姿を消した。

すると思いの外早くコグルモンが映像を送ってきた。コグロモンは送られて来た映像を宙に映し出す。



「……また、城…?」



映像を目にしたコユリがぽつりと呟いた。宙には荒れ地に聳(そび)え立つ古城が映る。だがその周囲にもデジモンの姿は無く、気味が悪い程静まり返っていた。



「またユウの企みか?」

「いや、向こうが立て続けに仕掛けてくるとは考え難い」

「コグルモン、城内の偵察を……」

「コユリ、城内はハイビジョンモニタモンに任せましょう。コグルモンは見付かる可能性が高いわ」

「うん、分かった」



ネネはそう言ってハイビジョンモニタモンをコグルモンと合流させ、城内の偵察に向かわせた。

その間コグルモンは一同を城まで案内する為に一旦戻り、静かにコユリの腕へ止まる。



「お疲れ様、コグルモン」

「不気味、敵ガ見当タラナイ」

「やっぱり罠かしら……」

「どちらにしろ行くしかないだろ」



キリハがそう言った時、ハイビジョンモニタモンから通信が入った。モニタモンには城内の映像が映し出され、ハイビジョンモニタモンの声が聞こえてきた。



『一通り見て回りましたが、城内にも敵はいないですな』

「ありがとう、ハイビジョンモニタモン。…ここで考えていても仕方がない、俺達も城に向かおう」

「ああ」

「そうね」

「うんっ」





クリスタルの世界





------(12/02/07)------
本当は一話に纏めようと思っていたのですが、無駄に長くなったのでいつも通り←二話に分けました(´ω`;)

予告通り今回からオリジナルで進めて行きますが、詰まらないと思うのでこの国が終わった後は何事も無かったかのようにアニメに戻します((蹴

因みに、若干漫画版っぽく書いて行きたいと思ってます(^p^)





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