コユリとタイキはソリフィアモンとシャウトモンX4と共に爆発の中心部へと向かう。歪んでいくヘルズフィールドの中心に、リリスモンとブラストモンがデジクロスした魔獣リリスモンの姿があった。

リリスモンのその姿にコユリは困惑し、ソリフィアモンは表情(かお)を歪める。



「っ…あれが、リリスモン……?」

「…醜い姿だ、奴からは強い怨念を感じる」



コユリとキリハ、タイキはそれぞれXローダーを掲げて主力を超進化させた。四体はリリスモンへと向かっていく。



「オメガザフュージョン!」

「ファイナルストライクス!」

「女神の舞踏曲(バレラインディアーノ)!」

「魔王の鉄槌(ネヴァロフェリノス)!」



手応えはあったとタイキが言うが、やはり一筋縄ではいかない様だ。リリスモンはフィールドごと呑み込もうとしている。

その時、タイキのXローダーの画面にワイズモンが映った。薔薇のプログラムを解読したようだ。



「――…プログラム本体は、白と黒の城にある。これを変更しなければ、帰還ゲートは開かない」

「二つの城が、プログラムの本体……!もし城が消滅したら……?」

「我々は二度と、ヘルズフィールドから出られないだろう」



二つの城はリリスモンの力によって引き寄せられ、ぶつかり合っていた。急いでΩ(オメガ)シャウトモン達が城の間に入り、これ以上ぶつかるのを防ぐ。

だがそれをリリスモンに見付かってしまい、攻撃されてしまう。



「タイキ…もっとデカイ力が必要だ…!X7の力をくれ!」

「ああ、分かった!皆、力を貸してくれ!」

「ああ!」

「勿論だよ!」



スパロウモンに乗った一同は、グレートクロスの為に城へと飛ぶ。だがシャウトモンX7とβ(ヴィータ)ルーツァリモンが城を支えている間に誰がリリスモンを抑えるか、それが問題だ。



「――…一瞬では終わらないって事か……」

「俺に任せろ!」

「ベルゼブモン!」



ベルゼブモンとメルヴァモンが自ら名乗りを上げた。ベルゼブモンの傷は戦いながらキュートモンが治すと言う。

そこで二手に分かれ、コユリ達は直ぐ様グレートクロスをした。二色の城の間では既にワイズモンがプログラムの修正に取り掛かっている。



「――…急いでくれ、ワイズモン!」

「うむ、だがまだ一つ問題がある」

「問題?」

「そう。城のプログラムを欺(あざむ)く為に、死と言うデータが必要だ。君の死のデータが!」

「なんだって……?!」



胸の薔薇はタイキの命と直結している。それは生きているという生のデータを取り出していると言う事だ。そのデータをワイズモンの力によって、死のデータへと変換する。だがそれには危険が伴うらしい。



「やってくれ、ワイズモン

「「えっ……?!」」

「タイキくん……!」

「ただ、危険なだけなんだろ?ならやってくれ。今の俺に出来る事は、それだけだ!」

「……ファイアーオール解除。良い顔だ、タイキ。その顔が大好きだ」



そして始まったデータ変換。タイキは苦しさで悲鳴を上げるが、それでもただ耐えるのみ。そして遂にプログラムの修正が完了したが、タイキは気を失ってしまった。

それと同時に城の真上にゲートが開き、スカルナイトモンがユウとダメモンを抱えて脱出するのが見えた。



「いかん、ゲートが閉じる!時間が無いぞ!」

「っ…分かってる!X7、攻撃よ!」

「リリスモンを撃破して、ここから脱出だ!」

「βルーツァリモンはX7を援護して!」



シャウトモンX7とβルーツァリモンはリリスモンへと向かって行く。



「クロスバーニングロッカー!」

「氷上の闘技(ロレラジェレード)!」



その間にもコユリ達はワイズモンの巨大な本に乗ってゲートへ急ぐ。その背後からは爆発音が鳴り響いてきた。リリスモンを撃破したのだ。

――…コユリ……。



「っ……!」



タイキの傍にいたコユリはベルゼブモンに呼ばれた気がした。急いで振り返り、ヘルズフィールドへと視線を落とす。

――…あの時、敵だった俺に手を差し伸べてくれたお前の優しさを、俺は忘れない。…ありがとう、コユリ。



「…ベル…ゼブ、モン……?」



靡(なび)く髪を左手で押さえながら、徐(おもむろ)に右手を伸ばした。指先は飛んできた漆黒の羽根を掠(かす)め、宙を掴んだだけ。

それと同時にタイキは目が覚めた。タイキにもベルゼブモンの想いが届いたのだ。

二人はそこで悟った。ベルゼブモンはリリスモンから仲間を守る為に死んだのだと。



「っ…ベルゼブモーンッ!」





零れ落ちた漆黒





------(12/01/10)------
もっとベルゼブモンと絡ませておけば良かったと後悔……(´・ω・`) 書けなかった分を番外編で……!





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