一同は敵に見付かりにくい場所へと移動した。その頃には陽が暮れ、辺りを闇が包み込む。



「タイキくん、手当てするから怪我した腕を見せて?」

「ああ、悪いなコユリ」

「ううん、気にしないで。……かなり腫れてる…痛くない?」

「大丈夫、痛みは無いんだ」

「…なら良かった」



コユリは鞄から救急箱を取り出し、包帯と消毒液で手当てをしていく。手慣れた手付きで包帯を巻く姿に、タイキは驚いたように声を出した。



「随分手慣れてるな」

「私良く転ぶから、自分で手当てしてる間に慣れてきちゃって」

「でも最近はそんな事も少なくなって来たわよね」

「あっ…そう言われてみればそうだね……はい、これで終わり」

「ありがとう、コユリ」



タイキの手当てが終わり、コユリは鞄に救急箱を仕舞う。その間にハイビジョンモニタモンからの中継が繋がり、モニタモンに城の内部が映し出された。

そこには残った触手から再生したグラビモンの姿があり、一同は衝撃のあまり息を呑んだ。



「グラビモンが……」

「再生した……?!」

「そんなっ……、」

「どう言う事?コアってなんなの?」



ネネがハイビジョンモニタモンにそう問い掛ける。コユリの脳裏には、過去に戦ったデクリアモンの姿が過った。

――…まさか、グラビモンも奴と同じようなデジモンなの……?

その直後ハイビジョンモニタモンとの中継が乱れ、次に映ったのはグラビモンの護衛であるアヌビモンだった。どうやら見付かり、捕らえられてしまったようだ。



「――…コイツは預かった、返して欲しくば城に来るがいい。そこで次こそグラビモン様がX7を倒す」

「ハイビジョンモニタモン……!」



一同は捕まってしまったハイビジョンモニタモンを救出すべく輪になって作戦を立てる。



「――…タイキ。裏切った俺を仲間だと言ってくれて、本当に感謝している」



珍しく素直なキリハの言葉にタイキは驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑顔になった。



「そんなの当たり前だろ?」

「っ!…当たり前か……。お前は凄い奴だな」

「やっと分かったか、オレのジェネラルはDW一だぜ!」

「それは言い過ぎかもな」

「何ぃ!」



キリハとシャウトモンの遣り取りに笑い出したタイキ。それに釣られてキリハも笑うと、シャウトモンは驚いたように声を上げた。



「あーっ!笑ったー!オレキリハの笑うとこ初めて見たぜ」

「そう言えばそうかもね」



タイキ達はキリハに視線を向けるが、コユリは不思議そうに首を傾げている。



「そんなに驚く事なのかな……。キリハくん、いつも笑って……」

「ッ!コユリ、それ以上話すな!」



コユリの話をタイキ達に聞かれたくないキリハは、後ろから彼女の口を手で塞いだ。



「分かりきってた事だけど、やっぱりコユリの前じゃ態度が違うのね」

「こりゃコユリに聞いたら沢山キリハの裏話が聞けそうだぜ!」

「ハハッ、そうだな」

「ッ……そっそっそんな事より、早く作戦を立てるぞ!」



全員の視線が恥ずかしいようで、キリハは顔を赤らめて吃(ども)りながら話を逸(そ)らそうとする。

コユリが口を塞いだままのキリハの手を軽く叩くと、彼は慌ててその手を離した。



「とにかく、ハイビジョンモニタモンを助け、次こそグラビモンを倒す」



タイキが手を前に差し出すと、コユリ達もその上に己の手を重ねる。



「そして最後の第七の国へ行く!」

「おう!」

「ええ!」

「うんっ!」

「ああ!」



一同は作戦を立て、戦いに備えて仮眠を取る。そんな中でハクシンモンは外に出て月を眺めており、その背後からシキアモンが現れた。



「……ハクシンモン、これで良かったの?」

「そうじゃ」

「でもデッカードラモンが犠牲に……」

「それについても問題は無い」

「え?」

「いずれ分かる事よ。……シキアモン、明日の戦闘に備えて休んだ方が良いと思うぞ」

「…それはこっちの台詞だよ、老体には酷だろうし」

「失礼な、妾(わらわ)はまだまだ現役じゃ」

「ふっ……どうだかね」





初めての顔に





------(12/01/05)------
吃るキリハは天使だと思います(殴) 異論は認める!←

タイトルが全く思い付きません……orz でも今更お題サイト様からお借りするのもなーっと思っていまして……。





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