オレーグモンがバリスタモンについて語る。嘘偽り一切無くバリスタモンはオレーグモンが造り出したデジモンの様だ。 その事実をどうしても信じたくないΩ(オメガ)シャウトモンは悲痛の声を上げる。 更にダークボリューモンとなった今、バリスタモンの頃の記憶は残っておらず、Ωシャウトモンを敵として認識している。 「――…どれ、俺様がその悲劇を終わらせてやろう……!」 オレーグモンの両肩がゆっくりと開き、その中から赤と青の影の様な"魔神"が姿を現した。名前は赤がスルト、青がヨルムンガンドと言うらしい。 「ヘーイ、ボーイ達!願い事を言いな、オンリーワンだけ叶えてやる。カモーンッ!」 「ふざけやがって……!」 「俺達の願いは、オレーグモンを倒す事のみだ!」 スルトは軽い口調でその願いを叶えると言った。だが実際は、オレーグモンのいない場所へ吹き飛ばすと言う事だった。 「――…じゃあユー達が消えな!この世の果てにフライアウェイ!」 スルトは自身の身体を捻(ひね)り、まるで竜巻の様にデッカードラモンとメイルバードラモンを呑み込んでいく。そしてキリハとコユリ、Ωシャウトモンを別の場所へと吹き飛ばしたのであった。 「――…っコユリ、無事か?」 「…う、うん。…でもここは一体……?」 「何処だ此処……陸地が見えねぇ」 飛ばされた先はゾーンの端。見渡しても陸地は無く、オレーグモンの海賊船も無い。シャウトモンは悔しさのあまり雄叫びを上げた。 一同はデッカードラモンの背に乗り、海賊船を目指して海上を進む。コユリはXローダーを取り出してハクシンモンをリロードした。 「ハクシンモン、海賊船の場所を特定してほしいんだけど……」 「ふむ…少し待っておれ」 生々しく動く第三の目。それを初めて見たドラコモンは少し驚いた表情を見せた。 「……コユリ、地図はあるかの?」 「うん、ちょっと待って」 コユリがXローダーでこのゾーンの地図を表示させると、ハクシンモンは前足を上げて場所を示していく。 「ここが妾(わらわ)達の居場所。そしてここに……海賊船が停泊しておる」 「かなりの距離があるな」 「そうだね、どれ位で戻れるかな……」 「この速さで進むと一晩は掛かるのう。まあ奴等はそう直ぐに動く気配は無い、一晩策を練った方が最善じゃろうな」 ハクシンモンの意見に賛成したキリハはデッカードラモンに海賊船の位置を教え、そこに向かう様に指示した。 進んでも進んでも陸地は見えず、同じ風景が続くだけ。何時しか陽が暮れ、満月が空に浮かんでいた。 「随分遠くに飛ばされちゃったんだね。ピュアグロウがいると言っても仲間はこれだけ。これじゃぁとても勝負にならないかも……」 「俺達にはまだ誇りが残っている。そうだろう、ドラコモン?」 「うん!ごめん、キリハ」 ドラコモンは肩を震わせて俯(うつむ)くシャウトモンに声を掛けた。 「――…一緒に戦ってくれ!キリハ、コユリ、頼む!」 「シャウトモン……」 「言っておくがな、俺達はお前の親友を撃破するつもりでいるんだぞ」 冷たく突き放すキリハとは対照的に、コユリはシャウトモンに力を貸す事を決めた。 「シャウトモン、私達が力になるよ」 「ホントか?!」 「うん、力を合わせてバリスタモンを元に戻そう?」 「コユリ……!」 「キリハくん、私、こんな時こそ力を合わせるべきだと思うの」 デッカードラモンとメイルバードラモンの言葉、そしてシャウトモンとコユリの真っ直ぐな瞳にキリハが折れた。 「……フン、俺はタイキとは違うぞ。お前を駒のように使い捨てるかもしれん」 「ありがてえ、上等だ!」 彼の言葉にシャウトモンとドラコモンの表情が明るくなった。コユリは嬉しそうに微笑んでいる。 「良かったね、シャウトモンっ」 「ああ!バリスタモンは俺に任せてくれ!今度は俺が目を覚まさせる……!」 「……話は決まった」 分裂と交渉 ------(11/12/28)------ タイトルが思い付きません← 繋ぎ回なら尚更……(´`;) なんだかゴールドランドはコユリを出す機会が全然無いです……捩じ込むの難しい……orz |