コユリも周りに遅れを取らないようにピュアグロウをリロードした。



「ヒョウルモン!雷火雨(サンダーレイン)は使っちゃ駄目だからね!」

「雷火雨なら一発なんだぞ!」

「そんな事したらデッカードラモンまで感電しちゃう!」



ヒョウルモンはコユリに技の制限を掛けられながらも片っ端から敵を倒して行く。

その頃甲板ではグレイモンとシャウトモンがオレーグモンに挑んでいた。

グレイモンがオレーグモンを止めている間にシャウトモンが船を奪いに行くが、奥から見覚えのあるデジモン達が現れた。過去にクロスハートが助けたスパーダモン、ルナモン、コロナモンだ。



「――…俺達はオレーグモン金賊団。悪(わる)の魂に目覚めたのさ」

「これからは悪い子ちゃんの時代だよ」



三人は先程オレーグモンが口にしていた呪文を狂ったように言い続ける。更にマーメイモン達までその呪文を言い出すと、ヒョウルモン達は苦しみながらその場に伏せてしまった。



「皆どうしたのっ……?!」

「っ……酷い言葉…だぜ。コユリ、俺達を……」

「う、うん!全員Xローダーに戻って!」



逸早(いちはや)く異変に気が付いたコユリは、ピュアグロウをXローダーに戻した。

そしてオレーグモンはふらつくシャウトモン達を斧で攻撃して呪文を唱える。するとシャウトモンやグレイモン達までその呪文を唱え始めたのだ。



「――…仲間を…取られた……?」

「そうそう、なんたって一番のお宝は仲間だもんな」



チームの要を失い、この場は一旦引き上げて立て直す事にした。三人がネネに視線を移すと、髪の毛を触りながら酷く落ち込んでいる。洗脳されたスパロウモンに言われた一言が胸に鋭く刺さった様だ。



「そうかなぁ?髪型変?実は私もちょっと大胆な髪型かなって……。でも、皆何も言わなかったし……」

「ね、ネネちゃん!」

「あっ、コユリ……貴女はこの髪型どう思う?やっぱり変かしら……。私もコユリみたいに下ろしてた方が……」

「えっと……」



何と言ってネネを励まそうか考えたコユリだったが、すぐにオレーグモンが攻撃を開始した為、それは後回しになってしまった。

あの呪文は何故かバリスタモンには効かず、オレーグモンの足止めをしている間に全員はメイルバードラモンに乗って引き上げた。

一同はとある金塊の島で身を潜めながらどうやってオレーグモンに対抗するか策を練っていが、やはりネネは髪型を気にしている。



「ねえコユリ……この髪型どう思う?やっぱり大胆よね……」

「えーっと……ネネちゃんらしくて良いと思うよ?」

「ほ、本当……?」

「うんっ」



これで立ち直るかと思いきや、やはり落ち込んだまま。タイキとキリハには乙女心が分からない様で呆れ返っている。交互に仮眠を取っていたが、その会話は一晩中続いた。

そして夜が明け、朝日が黄金の海を更に輝かせる時間に金賊団が襲撃して来た。オレーグモンは来ていない様で、下っ端達を難なく倒して行く。



「――…止めだ!」

「デスディバ……ッ!」



サイバードラモンが攻撃を仕掛けようとした時、頭上からオレーグモンの斧が降って来た。



「――…金賊団、只今到着!さてさて、新入りの力でも試してみるかな……ドルルモン!」

「おう!ガッポガッポ!」

「ど、ドルルモンっ?!」

「しまった、いつの間に!」



金賊団との戦闘の最中にドルルモンが洗脳されていた。オレーグモンはシャウトモンとドルルモンを強制デジクロスさせて攻撃を開始。

サイバードラモンがオレーグモンに向かって行くが、返り討ちにあい、洗脳されてしまった。想定外の事にキリハは動揺している。

洗脳されているとは言え仲間内で戦いあう光景は残酷なものだ。



「…酷いっ……」

「コユリ、今はそんな事言ってる場合じゃねぇぞ!」

「向こうでワイズモンが調査してる、今は相手をするしかないよ」

「…う、うん……」



コユリは躊躇(ためら)いながらもXローダー片手に指揮を取る。

その間にもバリスタモンがシャウトモンを止めに入った。バリスタモンの心からの言葉にシャウトモンは洗脳が緩まり、オレーグモンに攻撃した。

その一撃でワイズモンが洗脳の仕組みに気が付き、バリバステモンによって全員の洗脳が解けた。



「皆元に戻って良かった……」



コユリが胸を撫で下ろした正にその時、残党のアノマロカリモンが襲って来た。



「ッ……!」

「コユリっ!」

「蛇雷(レーペレボルト)ッ!」



それに気が付いたキリハは瞬時に彼女を抱き抱え、間髪入れずにヒョウルモンがアノマロカリモンを倒した。本人達は嫌がるだろうが、絶妙なコンビプレイだ。



「…あ、ありがとう」

「全く、戦場で気を抜くな」

「おい坊主、とっととコユリを降ろせ!」



コユリ達がこんな事をしている間に、シャウトモンはΩ(オメガ)シャウトモンへと超進化してオレーグモンと戦っていた。

だがその隙にバリスタモンがマーメイモン達に捕まり、回路を組み換えられてしまった。



「――…コイツは元々俺の部下、俺が造ったんだよ!」



衝撃の真実に一同は動揺するばかり。



「さあ甦(よみがえ)りな!俺の力を増幅する究極の破壊兵器、ダークボリューモン!」

「バリスタモーンッ……!」





言葉の力





------(11/12/27)------
ネネって意外に髪長いですよね、第三期では短くなっていましたが……。もし本気で連載を続ける事になったらコユリの髪型は変えるべきか……(・ω・`)





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