「アヤメ先輩、好きです」 「はっ……!?」 「俺、もう我慢出来ないんすよ」 いつになく真剣な顔をした烏丸にじりじりと追い詰められ、背中が壁に当たり逃げ場が無いことを自覚した瞬間冷や汗が流れた。後輩からの突然の告白にどうしていいか分からず、ただ困惑するばかりのアヤメ。そんな彼女の逃げ道を断つように、烏丸は壁に両手をついた。 「ど、どうせお得意の冗談なんでしょ…?」 「冗談言ってるように見えますか?」 その言葉と共にぐっと端整な顔が近付き、羞恥からアヤメの頬は赤く染まり視線は泳いでいる。 「ちょっ…京…介、」 「本気っすよ。俺じゃ駄目ですか?」 「え、あ…その…考える時間を」 「そのまま逃げられたくないんで、今、返事を下さい」 「っ……!」 アヤメは困ったように視線を下げて烏丸を見ようとしない。口籠もる彼女に、烏丸は痺れを切らした。 「先輩」 「…な…、…ッ!」 呼ばれて反射的にそちらを見れば、軽いリップ音が鼓膜を揺らした。唇に残る微かな温もり。アヤメは目を白黒させて呆然としている。 「迷ってるなら、遠慮なんてしませんから。絶対俺のモノにしてみせますよ」 不敵に笑った烏丸に、早くも心を奪われそうになるアヤメだった。 [13/11/30] Twitterのmoeru_botより。上手くまとまらず不完全燃焼。 title:水葬 戻る |