私がユウ君と知り合ったのは、クラスメイトでありよき友人であるタイキの紹介だった。と言っても向こうは何故か私を知っているようだったけど。思いの外共通の話題が多く、いつしか二人で出掛けるまでの仲になっていた。 そして今日も一日お互い興味のあった映画を観たり、ふらりと立ち寄ったゲームセンターで遊んだりした。デート、と言えるのだろうが彼はきっとそんな意識は毛頭無いだろう。仲の良い先輩の一人と遊んでいるだけの感覚だと思うし、多少意識はしているけれど私も後輩の一人と遊んでいるだけだと思っている。 「結構暗くなっちゃいましたね」 「そうだね…。門限もあるし、私はそろそろ帰るよ」 「なら家まで送ります。女性の一人歩きは危険ですから」 タイキも紳士だけどユウ君も充分紳士だと思う。類は友を呼ぶのか。いや、失礼だけどタギル君はそうでもないや。 「心配無用、だよ。私みたいな奴、よっぽどの物好きでない限り襲わないって」 そう笑って返せば、いつになく真剣な表情を浮かべたユウ君。すると考える間も無く路地裏に追い込まれ、壁に押し付けられて身動きが取れなくなってしまった。 「ほら、アヤメ先輩一人じゃ何も出来ないでしょう?」 「ゆっ、ユウ君…?」 「先輩の言う“よっぽどの物好き”がすぐ傍にいるって考えたことはなかったんですか?」 その言葉に期待している自分がいる。 「好きですよ、先輩。僕以外の奴に襲わせたりしませんから」 これじゃ多少の意識、じゃ済みそうにない。 [13/03/17] Twitterのmoeru_botより。後輩キャラがユウ位しか思い浮かばなかった結果。 title:水葬 戻る |