この部屋の主である風間と、彼の年下の彼女であるアヤメだけの空間には紫煙が漂う。ソファーに腰掛ける二人の間には大した会話も無い。そんな中、横からの熱い視線が気になり、風間は銜えていた煙草を外して口を開いた。 「…どうした?」 「煙草好きな人って、煙草は美味しいってよく言いますよね?」 興味と好奇心の色を孕んだ瞳で見つめてくるアヤメから唐突な質問を投げ掛けられた。だがそんなことは日常茶飯時。そんな所も可愛いと思ってしまうのは惚れた弱みというやつか。 「まあな。…気になるのか?」 「んー、気にならないって言ったら嘘になりますけ、ど…っ…!?」 言い終わる前に煙草を持っていない方の手を伸ばして彼女の身体を強引に引き寄せ、有無を言わさず唇を重ねた。突然のキスと歯列を割って入り込んできた舌に、興味から驚きへと色を変えた目が見開かれた。 「ふっ…ぁ、そ…うや…さっ……」 彼女の意思とは関係無しに口内を犯される。呼吸さえままならず、どうにかして逃げようとするも身体に回された腕がそれを許さない。そして風間の胸板を数回叩いたところで、ようやく唇が離れた。 「旨いだろ?」 「っ…!ぅ…はい、」 頬を赤らめ呟くように言ったアヤメの姿に、風間は持っていた煙草を灰皿に押し付けて彼女を押し倒した。 [13/11/29] Twitterのmoeru_botより。私の中で風間さんは喫煙者。 title:微光 戻る |