合宿最終日の夜。依頼された全ての仕事が終わった事もあり、日向子は水原や四宮達と久々に酒が飲みたいと、一人ひとりメンバーを集めていた。しかし肝心の大好きなアヤメが何処にもいないのだ。部屋にも居らず、日向子は周囲から情報を集め彼女を捜した。そして、 「アヤメせんぱぁーいっ!」 「あれ?日向子?」 根性でホテルの一室に居たアヤメを発見。一方のアヤメは一升瓶を抱えて部屋に飛び込んで来た日向子に驚いている。 「やっと見付けましたよ!一緒に飲み……って、どうして堂島さんが?」 「む、乾か。いやなに、披露宴で出すフルコースについて話していたんだ」 「へ?披露宴?」 堂島の言葉にぽかんとする日向子。テーブルに広げられた書類などから仕事の話なのだろうか等と考えを巡らせる彼女を尻目に堂島はアヤメに尋ねる。 「何だ、まだ伝えていなかったのか」 「中々落ち着いて話せる時間が無かったんですよ」 「わ、私にも分かるように説明を……!」 全く話についていけない日向子が二人に説明を求める。するとまた一人新たな訪問者が。 「すみません、堂島さん。遅れ……日向子、なんでテメェが居るんだ」 「四宮先輩…!私はただアヤメ先輩を迎えに来ただけです!」 四宮は日向子の持つ一升瓶を一瞥し、鼻で笑った。そして野良犬でも追い払うような仕草をみせる。 「お前は邪魔だから向こうに行ってろ」 「酷い!私は犬じゃないですよ!」 「ごめんね、日向子。なるべく早く終わらせてそっちに合流するから」 「…アヤメ先輩がそう言うなら。その代わり、一体何のお話だったのか教えて下さい!」 日向子の言葉にアヤメと四宮は顔を見合わせた。そして一瞬の間の後、四宮が仕方がないと言わんばかりに息を吐いたのを理解したアヤメが口を開いた。 「実はね、日向子。私達、結婚することになったの」 「……え?わ、私達って」 「俺とアヤメだ。それ位理解しろよ、バカヒナコ」 予想外過ぎる言葉に日向子は唖然としている。昔から憧れの対象で大好きな先輩が、見知った人物…選りに選って四宮と結婚するというのだから心中複雑以外の何物でもないだろう。 「それで披露宴を此処で行うことに決まってな。その為の打ち合わせという訳だ」 「黙っててごめんね?この合宿が落ち着いたら皆に言おうと思ってたんだけど……」 「俺達も忙しいんだ、早く出て行けヒナコ」 もう彼等の言葉など日向子には届いていなかった。 「…アヤメ先輩が、四宮先輩なんかと…結婚…?そ、そんな……私のアヤメ先輩が……!」 ふらふらと虚ろに呟きながら、日向子は一升瓶を抱えて倒れてしまった。 「ひ、日向子……!?」 「チッ…アヤメ、ちょっと水原呼んでこい」 [13/09/16] また結婚ネタです、すみません。そして堂島さん空気。 title:微光 戻る |