「あ、あのっ!…これ、四宮先輩に渡して下さい!」 一年生だろうか。まだ彼のことをよく知らないで好きになってしまったのだろう。震える手で渡された女の子の甘酸っぱい想いが詰まったラブレターを受け取った。 「…と、言う訳でハイ」 「あ?面倒クセェな」 「そう言わないでよ」 その日の夜。小次郎の部屋に行き、直接彼にラブレターを手渡した。私って親切。だけど小次郎は面倒臭いと嫌な顔をしている。 「何で受け取るんだよ」 「そりゃあ頼まれたから」 「それが自分の彼氏宛てだとしてもか」 「うん」 即答すれば複雑そうな、何とも言えない表情を浮かべる小次郎。 「俺がこの差出人に乗り換えるとか考えねぇのかよ」 「それ自分で言っちゃう?」 今は何とか抑えているけど、前までは取っ替え引っ替えしてた癖に。でもまあそんなことを言うようになったのは、本気で私と付き合ってくれているからだと思うと嬉しくなった。 「ちゃんと読んで、返事してあげなよ」 「……」 そう言えば、彼は面倒臭そうな表情を浮かべながらラブレターの封を開けた。そして手紙を読んだかと思えば、またそれを封筒に戻して私に渡して来た。仕方がないので受け取る。 「なにさ」 「答えはノーだって、伝えておけよ」 「なんで私が」 「面倒事を持って来たのはアヤメだからな。後始末は当然だろ」 何だか不機嫌になってる気がする。眉間に皺寄せてるし。……あ。 「小次郎ってば、私が嫉妬しなくて寂しいんでしょ」 「…はぁ?何言ってんだテメェ」 否定はするけど、その言葉にいつものような威圧感は無い。やっぱり図星のようだ。そんな小次郎が可愛くて、ベッドに腰掛ける彼に歩み寄り、そのまま向き合う形で脚に跨がった。 「大丈夫だって。私はちゃんと小次郎のこと愛してるよ」 「…当たり前だ、」 そのまま彼をぎゅっと抱き締めれば、ぱたりと大人しくなった。やっぱり可愛い。それはそうと、あのラブレターどうしようか。 [13/10/02] サバサバした彼女に少し不安を覚えてしまった女々しい四宮の話。 title:微光 戻る |