カーテンの隙間から入り込んで来た朝日で目が覚めた。隣に彼の姿は無く、既に起きたようだ。職業病とでも言うべきか。折角の休みに早くから起きなくてもいいのに。私ばかりが寝ていると後で何を言われるか分からないからそろそろ起きよう。まだ回らない頭のままで水の音がする洗面所へと向かった。 「おはよ」 「……ああ、」 鏡の前で思い切り眉間に皺を寄せて不機嫌そうに歯を磨く小次郎。低血圧だからまだ眠いのだろう。不機嫌そうでも彼が格好良いことに変わりはなく、思わず見とれてしまう。 「…何見てんだよ」 「痛っ…!」 流石に凝視するのは不味かったようで、頭を小突かれてしまった。手加減無しだから結構痛い。それでも今度は鏡越しに見ていると、小次郎は何処か照れ臭そうにしながら私の頭にチョップを噛ましてきた。 「うぎゃっ!」 「色気のねぇ声だな」 「悪かったわね…!」 じんじんと痛む頭を押さえている間に隣ではのうのうと口を濯いでいる。どうしてもやり返せないのは惚れた弱みと言うやつで。 「私に見詰められて照れてた癖に…、」 「……そのなけなしの眉毛剃るぞ」 「ゴメンナサイ」 事実を言っただけなのに向こうがちらつかせて来たのは髭剃り。流石にそんなので眉毛全剃りは嫌だ。 「朝飯食ったら出掛けるぞ」 「へ?何処に?」 「今日は休みだからな。アヤメの行きたい所に付き合ってやる」 「やった!」 「俺の気が変わらないうちに用意しろよ」 「はーいっ!」 そして手早く髪型をセットした小次郎は先に洗面所を後にした。珍しい彼からのお誘いに眠気はどこかに吹き飛び、私は上機嫌で支度を始めた。 [13/08/06] 四宮祭りその8。何が書きたいのかよく分からなくなった話パート2。 title:微光 戻る |