「日向子は彼氏いるの?」 「彼氏なんて居ないですよぉ」 アヤメの部屋に日向子と水原が押し入って始まったプチ女子会。明日の日程に支障を来さないようにとアルコールは禁止。三人ともジュース片手に盛り上がる。年頃が三人も集まれば恋愛話に花が咲く。 「冬美は?前付き合い始めたって言ってたよね?」 「別れた」 「えっ、そうなの?」 「どうして別れちゃったんですか?」 「…骨の無いヤツだったから」 学生の頃から別れる度にそう言っていた水原。今も理由はそれかとアヤメと日向子は笑った。 「柊先輩はいつから四宮先輩と付き合ってたんですか?というかどうして四宮先輩?」 「それは確かに気になってた」 「うーんと、ちゃんと付き合い出したのは高一の時かな。幼馴染みだから昔から一緒に居たんだけど、小学生の時にプロポーズされたんだよね」 水原と日向子は思わず目を丸くした。学生時代からアヤメと四宮が付き合っていたことは知っていたが、プロポーズの話は初耳だったからだ。小学生でプロポーズなんて四宮らしいと思う二人。 小学生の頃。元々家が近所で放課後はよく二人で帰っていたらしい。何でもないとある日、四宮が大人しくとぼとぼ歩いていたようで。 「小次郎?どげんしたと?」 立ち止まってくるりと振り返れば少し後ろを歩いていた四宮の脚も止まる。 「…アヤメ、俺(おい)……」 「?」 言葉を濁して視線を合わせようとしない彼にアヤメは首を傾げた。すると四宮は意を決したように顔を上げ、彼女を見詰めた。 「俺はお前(わい)ば…す、好いとるばい!将来俺と結婚してほしか!」 彼の顔が耳まで真っ赤になっていたのは夕陽だけの所為ではないだろう。余りの必死さにアヤメは思わず頷いた。 「――…と、言うわけ。当時はそこまで深く考えずに頷いたけどさ。まさかここまで続くとは思わなかったよ」 日向子と水原に視線を戻せば、何故か腹を抱えて肩を震わせていた。 「ど、どうしたの二人して」 「いや、余りにもイメージ湧かなくて」 「そ、そうなんですっ…!あんな捻くれナルシストから純真無垢な少年時代が想像つかなくて…。思わず笑いが、」 「……誰が捻くれナルシストだって?ヒナコ」 突然部屋に入り込んで来た四宮にアヤメと水原は唖然とし、背後から頭を鷲掴みにされた日向子は唸り声を上げる。 「ごっ、ごめんなひゃいっ……!」 離された頭はまだ鈍く傷み日向子は頭を抱える。その間水原は手早く簡単に部屋を片付けてから日向子を連れて部屋から退散した。 「…ごゆっくりどうぞ」 「ちょっ、冬美!日向子!」 二人を引き留めようとしたアヤメを背後から抱き締めた四宮。 「ガキの頃のあれ、まだ覚えてたんだな」 「そりゃあね。…小次郎、この際もう一回言ってよ」 「…フー、一回だけだぞ」 そのまま彼女の耳元に唇を寄せて囁いた。 「好いとるばい、アヤメ」 [13/06/22] 四宮祭りその5。ショタ宮に告白させたかっただけ。仙台弁しか分からない私が書いているので間違っていたらごめんなさい← title:瑠璃 戻る |