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アヤメが授業でペアになった男子生徒と楽しそうに話していたのを四宮は見逃さなかった。それに対して彼の嫉妬心に火が付くのにそれ程時間はかからなかった。

その日の夜、極星寮。四宮はアヤメを自室に連れ込んだ。


「なあアヤメ。前にも言ったろ?俺はお前のものだって」

「こ、小次郎…?」


四宮の様子が可笑しいことにアヤメは薄々勘付いていた。いつもとは違う彼に恐怖を覚えながら後退りをすれば、背中が壁に当たった。二人の距離は縮まるばかり。


「だから俺を、俺の全部をやるよ」


彼女の逃げ場を防ぐように両手を壁に押し付ける。


「その代わり、」

「っ……?!」


アヤメの顎を掬い、有無を言わせず彼女の唇を強引に奪った。舌を捩じ込んで彼女のそれと絡める。その激しさにアヤメの目尻には涙が溜まる。息が出来ずに苦しくなり弱々しく四宮の胸板を叩けば、ようやく彼の唇が離れた。


「…ふっ、ぁ…こじろ、」

「お前も俺のものだ。だから他の男に愛想良く笑うな。俺だけを見て俺だけに笑え。…お前の全部を俺にくれ」


強気な言葉とは裏腹にその瞳は何処か縋るような眼差しをしていた。それに気が付いたアヤメは四宮の首に腕を回して優しく抱き締めた。


「今日の授業のこと怒ってた?…ごめんね、小次郎。もう男子とは組まないから」

「……アヤメ、」

「うん?」

「…さっきは、悪かった」

「…うん、」


頭が冷えたのか素直になった四宮の頭を優しく撫でると、何処か照れ臭そうにする彼の姿にアヤメは思わず微笑んだ。



[13/06/20]
四宮祭りその4。Twitterのmoeru_botより。四宮が俺様なのは根っからだと思う。その2とネタ被り←
title:微光


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